弦理論における双対性とその代数的構造
【研究分野】素粒子・原子核・宇宙線・宇宙物理
【研究キーワード】
弦理論 / 双対性 / 行列模型 / モジュラー不変性 / モジュライ空間 / 超対称ゲージ理論 / AdS / CFT対応 / モジュラー不変 / CFT 対応 / M理論 / 発散 / スケーリング
【研究成果の概要】
弦理論では,近年「双対性」を指導原理とした新しい発展が起こり,理論の統一的な理解の可能性が開けた.例えば,いわゆるAdS/CFT対応は,D次元の共形場理論とD+1次元の重力理論(string理論)の双対性に関する予想である.これらの理論の背後にあると考えられる11次元の基礎理論として想定されているM理論の分析も行われている.しかし,これまでの研究はある予想から別の予想を引き出す類ものが多く,その理論的基礎付けはこれからの課題である.
M理論を行列模型で構成しようとする際,N→∞極限のとりかたはよく分かっていない.そこでこれに対する知見を得るため,行列模型の弱結合領域における摂動展開の構造に注目し,行列模型のN→∞極限に由来する発散とゲージ理論における紫外発散の関係を調べ,運動量空間を行列模型の座標と読み替える対応で一対一対応があることを示した.また,統計模型としてのスケーリング指数の不等式を議論した.
AdS/CFT対応に関連してAdS_3空間上の弦理論に興味が持たれているが,SL(2,R)対称性に基づいて,弦理論として自己無撞着な解,すなわちモジュラー不変な分配関数を構成することは重要な課題である.加藤と佐藤(筑波大)は離散系列に属する表現だけではそのような分配関数を構成することができず,long/short stringの結合が不可避であることを示した.
現在は4次元超対称ゲージ理論のモジュライ空間について,その構造を代数的・幾何的側面からとらえ,高次元ゲージ理論の非自明な繰り込み群固定点と有理楕円曲面のとの関係を調べている.
【研究代表者】
【研究種目】奨励研究(A)
【研究期間】1999 - 2000
【配分額】2,200千円 (直接経費: 2,200千円)