磁気圏プラズマのホリスティックな構造と動態:オーロラに注目して
【研究分野】プラズマ科学
【研究キーワード】
プラズマ / 自己組織化 / 磁気圏 / オーロラ / プラズマ物理 / 非線形科学 / 磁気圏プラズマ / 渦 / ホイッスラー / 宇宙・天体プラズマ / 葉層構造 / 物質・エネルギー循環 / 内向き拡散 / トポロジー束縛 / 非ホロノミー系
【研究成果の概要】
磁気圏は自然界において自発的に生成されるプラズマ閉じ込めシステムである.その形成メカニズム,特に磁力線方向の荷電粒子運動の効果に関する実験および理論研究を総合的に進めている.RT-1実験装置は宇宙プラズマに匹敵する(相似則をみたす)磁気圏型プラズマを生成できる.これを用いた実験を中核として,その内部構造を明らかにするための計測・データ解析技術を開発しつつ,プラズマ中の運動・揺らぎの大規模な構造を研究した.
磁気圏の磁場によって磁化された荷電粒子は磁気圏内部へ向かって拡散するが,そのために密度は内側に集中し,拡散が密度勾配を強めるという一見エントロピー法則に反する現象が起こる.このような密度勾配の自己組織化が何故起こるのかは,荷電粒子運動に対するトポロジー束縛によって説明できる.これまでの研究で,磁気圏型プラズマの自己組織化は磁化した粒子に対する磁気モーメントの断熱不変性に起因することを明らかにした.2020年度の研究では,プラズマへのガス入射を行い,それによって引き起こされるプラズマの構造変化について研究した.深層学習を用いたトモグラフィ法をライン比分光イメージング計測に適用し,内向き拡散により自発的に形成されるピークした密度分布を詳細に可視化した.また,高エネルギー電子によってWhistler波の自発励起が起こることを実験的に示した.この成果は,地球磁気圏の衛星観測と連携して粒子・波相互作用の物理を発展させる成果と言える.
理論解析では,様々な物理モデルに現れるトポロジー束縛のキラリティーを数学的に分類する研究を行った.これはLie-Poisson代数の特異点を幾何学的に分類する研究として位置付けられる.ジャイロ運動論コードを用いてイオンおよび電子温度勾配不安定性を解析した,ExB ドリフト運動を含む、非可積分トポロジー束縛を持つ三次元の力学系の統計平衡を導出した.
【研究代表者】