定加重下交流比熱測定装置の開発とCe2RhIn8の高圧下比熱の測定
【研究分野】物性Ⅱ
【研究キーワード】
高圧 / 比熱 / 交流法 / 定加重 / 極低温 / 強相関電子 / 磁性 / 低音物性 / 物性実験 / 交流比熱
【研究成果の概要】
本研究で中心課題となったものは、以下の2点である。(1)高圧力下交流比熱測定システムの構築、(2)ヘリウム3クライオスタットをもちいた定加重発生装置の試作。これらのうち(1)に関しては、高圧力下で交流法によって熱容量の測定をする場合、圧力媒体への圧倒的な熱流出を克服することが第1の難関である。この条件下で断熱的条件を獲得するため、極微小試料へのスポッドウェルディングによる極細電極の取り付けシステムをまず構築し、0.5×0.4×0.07mm程度のサイズの試料に0.01mmの金鉄、金線を装着することが可能になり、交流法による測定が可能になった。この測定システムで測定を可能にしたグループの本邦での最初のグループの一つになった。開発に用いた試料はCePd_2Si_2で、ネール点が圧力増加とともに減少し、磁気エントロピーも劇的に減少することを見いだし、磁気的揺動が圧力下での超伝導の媒介をおこなうという議論を強く示唆する結果となった。これらの成果は、強相関電子系の国際会議(SCES‘05)で発表され、内外の研究者に評価された。また、Ce_2RhIn_8については、研究分担者によって試料の精製が進められ超伝導の本質と試料のスタッキングフォルとの関係が論じられている。(2)に関しては、1K以下の温度で定加重を発生することに成功した世界最初の装置となった。現在は、(1)のシステムを開発する際、用いた圧力発生装置をそのまま定加重装置に組み込み基礎的データの蓄積と熱容量測定への最適化を行っている。本研究を遂行中、回転反転対称性を有さない重い電子系であるCeRhSi_3において高圧力下で超伝導が発見された。高圧下で超伝導転移に対応する比熱のとびを観測し、そのバルク性を確認した。また、磁気秩序との共存、磁気的揺動が圧力下で顕著になることなどが見いだせた。今後、この系についても、本研究の成果を基に研究を進展させたい。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
上床 美也 | 東京大学 | 物性研究所 | 助教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2004 - 2005
【配分額】3,600千円 (直接経費: 3,600千円)