非平衡熱統計力学と非線形動力学の融合:同期のエネルギー論
【研究分野】数理物理・物性基礎
【研究キーワード】
非線形動力学 / 非平衡熱統計力学 / 同期現象 / 分岐現象 / エネルギー論 / 結合振動子 / カルノーサイクル / 低温度差スターリングエンジン / 非平衡熱力学 / 熱機関 / 効率・仕事率
【研究成果の概要】
自然・人工的な系にみられる自律振動子や周期駆動する系のダイナミクスは非線形動力学で記述される。こうした系は熱力学的な観点からはエネルギーの流入と散逸を伴う非平衡散逸系ともみなせる。本研究では、非線形動力学と非平衡熱統計力学のアイデアを融合することで適切に記述できる現象のモデリングを行い、そのエネルギー論を構築した。具体的には円周軌道上の結合振動子の同期とエネルギー散逸率を結ぶ公式の導出と結合ストークス球への応用、局所平衡カルノーサイクルの非平衡熱統計力学と熱効率論の構築、低温度差スターリングエンジンの力学系モデルの構築と分岐解析による回転メカニズムの解明、などの成果が得られた。
【研究の社会的意義】
本研究成果の学術的意義として、非線形動力学と非平衡熱統計力学の両者によって本質が記述される系の新しい性質を解明できた点が挙げられる。例えば、同期とエネルギー散逸率の関係について得られた知見は、様々な機能を担う微小生物の鞭毛の流体力学的同期現象に適用でき、同期の生命現象における役割の理解につながると期待される。また低温度差スターリングエンジンは持続可能社会において注目される熱エネルギー技術である。その回転メカニズムの解明は、工学的な重要性をもち、社会的意義も大きいと考えられる。
【研究代表者】
【研究種目】若手研究(B)
【研究期間】2016-04-01 - 2019-03-31
【配分額】3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)