界面ダイナミクスを再現する数値解析法の開発と実験分野への応用について
【研究分野】数学一般(含確率論・統計数学)
【研究キーワード】
ベルーソフ・ザボチンスキー反応 / ヴィスコスフィンガリング / サポートの分離と再融合 / 等高面法 / 特異極限法 / ヘリカル進行波 / 適正粘性解 / 自由境界問題 / ベル-ソフ・ザボチンスキ-反応 / サポートの分裂と再融合 / 反応拡散 / 渦の相互作用 / サポート分離現象 / 電気流体問題 / 特性有限要素法 / 結晶成長 / ベルグ効果 / 浸透領域の分離・非分離現象 / 非圧縮電気流体 / 無限制度数値シミュレーション
【研究成果の概要】
本研究では代表的な界面現象"化学反応でのベルーソフ-ザボチンスキー反応","粘性流体でのヴィスコスフィンガリング現象"と"蒸発過程での浸透領域の変化"を中心にして多岐にわたる界面ダイナミクスの研究を行い次のような結果を得た。
1)界面ダイナミクスに対する数学解析法すなわち特異極限法、分岐論、適正粘性解および等高面法が開発された。特に、ベルーソフ-ザボチンスキー反応、生物モデル、燃焼合成モデルに現れる進行波やヘリカル波の出環機構が明らかにされ、更にバンチング効果を伴う結晶成長やフィルムの剥離現象についてはその数理モデルが得られ大域的な解の存在が示された。
2)界面挙動の追跡に特異極限法を用いた差分法が開発され、多次元問題へのその有効性が得られた。
3)レオロジー挙動の異なる粘弾性体のヴィスコスフィンガリングの実験においてパターン形態の性質が得られ、数理モデルの導出が可能になった。
4)ベルーソフ-ザボチンスキー反応における閾値下興奮現象の発生と螺旋状反応波の対称性の破れのメカニズムが、実験解析から確認され、界面ダイナミクスの数理モデル構築が可能になった。
5)蒸発に伴う浸透領域の変化は吸収効果を持つ拡単方程式で記述され、浸透輝域の分離-融合過程及び非分離過程を再現する数値解析法とその証明が得られた。
6)多倍長精度計算法を用いることによって等高点の軌跡を高精度に求めることが可能になり、これによって界面運動の一つである進行波解の存在を確認する手法が得られた。
7)直接観察が困難な地球マントル対流および脳脊髄液流動の界面挙動を再現する有限要素法と領域分割法が開発された。特に、領域分割法にメッシュレス的手法を取り込んだ高速並列計算法が考案され、界面挙動の計算が効率化された。
【研究代表者】