非線形微分方程式の特異解の研究
【研究分野】解析学
【研究キーワード】
微分方程式 / 解の特異点 / 調和写像 / ゲージ理論 / 非線形問題 / 収束定理 / 非線形微分方程式 / 偏微分方程式 / 大域解析学
【研究成果の概要】
第一の結果はRiemann多様体の間の調和写像についてのものである。はじめに、定義域が3次元以上のRiemann多様体からの調和写像全体のなす空間について研究を行ない、定義域の次元をnとするとき、一階微分のL^nノルムが一様に有界であるような調和写像の集合は写像のC^∞位相に関してコンパクトであることを示した。この結果は定義域が境界をもつ場合も含んでおり、境界で連続になる調和写像だけではなく、境界の近傍で特異な挙動をとるような調和写像についても成り立つ結果である。この結果は論文として学術雑誌Differential and Integral Equationに発表した。次に、定義域の内部に特異点をもつ調和写像全体の空間の構造について研究を行ない。特異な調和写像についても、上と同様のコンパクト性定理を証明した。このことから、特異点をもつ調和写像の列が一様有界なL^nノルムをもつならば、その極限写像の特異点集合は元のものより大きくはならないという結果が得られた。この結果については、現在、補助金より備品として購入したパーソナルコンピューターで数式処理ソフト、グラフィックソフトを用いて、いくつかの例について特異点の付近の写像の挙動について、計算を行なっており、その論文は現在準備中である。第二の結果はゲージ理論に現れるの方程式についてである。まず、平成九年度分の補助金を用いて、静岡大学の芥川和男助教授を招聘してゲージ理論についての専門的知識の提供を受けた。これらを基にして、5次元以上の多様体を底空間とするバンドル上のYang-Mills接続全体のつくるモジュライ空間に対してのコンパクト性定理を得た。この結果の論文は投稿中であり、現在ではYang-Mills接続の特異解についてこの結果の拡張の研究を続行中である。
【研究代表者】