強非線形シミュレーション技術による波浪災害の予測と防止法
【研究分野】船舶海洋工学
【研究キーワード】
自然災害 / 防災 / 海洋工学 / 数値流体力学 / 流体構造連成問題 / 強非線形問題
【研究成果の概要】
波浪災害の予測と防止法について,研究レベルの現状把握と長期的な研究目標の設定を行うために,(1)流体力学に関する強非線形シミュレーション技術に関する調査,(2)構造・流体連成問題の解析技術に関する調査,(3)強非線形水波現象に関する実験技術の調査をグループに分けて行い,各グループ間での情報交換,今後の研究方法の討議を行った。その概要は以下のとおりである。
1)水波と浮体の強非線形相互作用に関する数値シミュレーション法については,気相・液層・固層を同一の方程式で統一的に解くことができるCIP-CUP法や,メッシュ生成を一切必要とせず,流体運動を粒子でモデル化してラグランジェ的に計算を行うMPS法(あるいはSPH法)による研究が精力的に行われている。その結果,青波による波浪衝撃を伴う強非線形現象に対しても,3次元浮体の波浪中運動シミュレーションができるようになっている。ただし,計算法の本格的な検証はこれから行われると言う状況である。研究課題としては,長時間のシミュレーションでも正確で鮮明に異相境界面を捉えることができる界面捕捉法を確立,計算時間の短縮などである。
2)有限要素法による構造解析の現状は,流体解析によって圧力分布の情報を提供してもらうという一方通行の解析にとどまっており,真の構造・流体連成解析ではない。それを解決する一つの方法は,流体・構造を連続体として考え,数値"流体"力学の手法によって統一的に計算することであるが,実際そのような研究が行われ始めており,更なる発展が期待できる。
3)強非線形水波現象に関する実験は,海水打ち込みに関する海上技術安全研究所での実験,最近九州大学応用力学研究所で行った大振幅波浪中を動揺しながら航走する模型船の甲板上での圧力計測実験以外,余り多く行われているとは言えない。数値計算と水槽実験の連携した共同研究が必要である。
4)移動境界まわりの強非線形流れ解析に関する国際研究集会を2006年1月に開催し,日頃の学会の枠を超えた研究情報の交換を行った。この情報交換は大変有意義であり,今後も継続して行う予定である。
【研究代表者】