偏微分方程式の係数決定逆問題の理論の新展開
【研究分野】数学解析
【研究キーワード】
逆問題 / 一意性 / 安定性 / 非整数階拡散方程式 / 最大値原理 / ソース項決定逆問題
【研究成果の概要】
本研究課題では、係数決定逆問題として、次の4つを主な研究対象とした:(A) 楕円型方程式の係数決定逆問題の一意性 (B)リーマン多様体におけるリーマン計量決定逆問題
(C) 流体力学におけるさまざまな非定常方程式の係数決定逆問題 (D) 非整数階偏微分方程式の係数決定逆問題.
該当する期間に、特に課題(D) に関して研究を集中させた。逆問題の研究対象となる非整数階微分方程式は、汚染物の不均質媒質中の異常拡散だけではなく、さまざまな場合に現れ、パラメータ推定などと関連して、その逆問題解析が重要である。例えば、石油探査や地熱発電の効率的な運用のためには、亀裂などが想定される地下構造におけるガスや熱の拡散の精密なシミュレーションが重要である。亀裂などの複雑な地下構造のために、熱拡散は古典的な移流項が付いた熱伝導方程式では適切なモデル方程式とならない。本研究の課題(D)を遂行するにあたり、諸科学分野への応用も視野に入れて、地熱発電の冷却水の適切な放出のための地下の熱拡散現象を研究しているスタンフォード大学のポスドク研究員の鈴木杏奈氏を東京大学大学院数理科学研究科に招へいして、共同研究を行った。その成果は "Initial/boundary value problem and some properties for fractional heat transfer equation" として論文にまとめているところである。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
磯崎 洋 | 筑波大学 | 数理物質科学研究科(系) | 教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(A)
【研究期間】2015-04-01 - 2016-03-31
【配分額】8,190千円 (直接経費: 6,300千円、間接経費: 1,890千円)