雷予報器を使った地震前兆現象としての大気電界急変化と大気コロナ電流の測定
【研究分野】自然災害科学
【研究キーワード】
地震 / 電磁気 / 大気電場 / 電離層 / 電離層擾乱
【研究成果の概要】
前年度では、すでに雷予報器として作動しかつコンピューターに接続されている装置の過去のデータを調べることによって2件の地震に関連していると思われるデータを得ることができた。しかし、本来このコンピューターの接続の目的は雷予報のためで365日24時間すべてのデータは保存されない。つまり落雷活動に関連したものしか保存されず十分にデータを確認することができない。したがって我々は過去に有望と思われるデータを得られたことから、今年度自主的にこのセンサーを用いて常時観測を行った。まずノイズ環境がよいゴルフ場に接続してある当雷予報器にロガーを接続し、熊本県阿蘇地方・3カ所にて観測をした。M4クラスの地震が近隣で生じたが特にここでは大きな変化が見られなかった。また、理化学研究所地震国際フロンティア研究プログラムと共同で全国に6カ所、雷予報器のプローブを用いて常時観測を行った。2000年6-8月伊豆諸島にて大規模な群発地震があり、神津島に設置してある機器の測定データを解析したところ、従来気象大気電場変動では見られないシグナルが現れた。また規模の大きい地震と連動しているシグナルも生じていた。現在電離層との関連を調査中ある。ここでは通信総合研究所の電離層ゾンデのデータと、GPSのデータを用いてこの地震に関連した大気電場シグナルが電離層にどのように作用しているかを解析している。さらに当手法を台湾の電離層観測グループが採用し、地震前兆大気電場変動と地震前兆電離層擾乱の関係を我々と協力し観測をし始めている。これらのデータはリアルタイムで見ることができる。2年間の研究にてプローブの精度や性質が明確になり、これらは極めて地震前兆大気電場観測には有効であることが見込まれ、難題である地震前兆電離層擾乱の発生メカニズムの解明が今後できることがわかった。
【研究代表者】
【研究種目】萌芽的研究
【研究期間】1999 - 2000
【配分額】2,000千円 (直接経費: 2,000千円)