トムが建てた<家>:マーフィーの描くアイルランドの心性史
【研究キーワード】
トム・マーフィー / アイルランド演劇 / ドルイド・シアター・カンパニー / 心性史 / アイルランド移民 / 帰還 / ケルティック・タイガー / 家(ホーム) / アイルランド / 記憶 / 物語
【研究成果の概要】
トム・マーフィーの劇作品にみられる「家」=国(アイルランド)という大きな枠組みの中で、連続上演の意味と可能性について、主に2012年、2014年のドルイド・シアター・カンパニーによるサイクル上演を取り上げ、検討を加えた。一つのグループを形成する俳優たちが、1人の演出家(ギャリー・ハインズ)のもとで、複数の劇を連続して演じるという上演形態において、舞台上における身体的連続性が、マーフィーの内的な精神史を掘り起こす手がかりとなり、ひいては、彼の作品全体を、アイルランドの心性史に位置づけることができることを考察した。(「ドルイド・シアター・カンパニーにおけるサイクル上演:「ドルイドマーフィー」の場合」と題する論文で発表。)
また、ZOOM開催となった国際アイルランド学会(IASIL)の年次大会(本来2020年度にポーランドのUniversity of Lodzで開催を予定されていた大会)で、'Tom Murphy in Translation'というパネルに、'Tom Murphy in Japan'という題で参加し、日本におけるマーフィー作品の受容の状況に関して報告した。ブラジル、ハンガリー、アイルランド、チェコからのパネルの参加者、さらには一般の参加者との間で、アイルランド以外の文脈において、マーフィーの作品がどのように受容されうるか、また受容が難しい点はどこかについて、有効な議論を交わすことができた。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2018-04-01 - 2023-03-31
【配分額】3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)