広告コミュニケーションの日米間の相違の社会学的研究
【研究分野】文学一般
【研究キーワード】
広告 / テレビコマーシャル / コミュニケーション / 日米比較 / コマーシャル / 異文化理解
【研究成果の概要】
本研究では次のことが明らかになった。テレビコマーシャルのハードセルとソフトセルという表現様式で日米間で大きな相違がみられるのは、1)両国の放送と広告のシステムの違い、2)両国の視聴者と社会の特性の違い、3)前の2つから生じるコミュニケーションパターンの違い、から生じている。
1)のシステムの違いとは、テレビ放送のシステム、法規制、広告製作者の自主規制、放送局の自主規制、そして取引習慣など送り手側のである。2)の違いはこれに対して受け手側の違いである。日本人はかなの他に漢字という絵画的文字も持っておりイメージに対して感受性を持っているが、アメリカ人は音表シンボルであるアルファベットしかなく、音声中心、言葉中心になってしまう。また、彼等の住む社会も、伝統や規範によって暗黙の了解が成り立つ日本のハイコンテキスト社会に対し、アメリカでは多文化、多民族で共通の基盤のないロ-コンテキスト社会である。ここからも暗黙の了解に基づく日本的コミュニケーションに対し、議論と説得のアメリカ的コミュニケーションの違いがでてくる。
これらの違いはさらに、テレビコマーシャルにおける送り手と受け手のコミュニケーションの違いをも生む。アメリカのテレビコマーシャルでは、メッセージの受取りの成否だけが問題となるメッセージ伝達型のコミュニケーションが中心になるのに対し、日本のそれは受け手が能動的に様々な要素を読み込む意味作用型のコミュニケーションが中心になっている。本研究の調査の結果、この意味作用型のコミュニケーションに参加する能動的視聴者は、テレビコマ-シャノの視聴によって社会意識を高め、社会批判を行う視聴者であることが分かった。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
タッド ホールデン (トッド ホールデン) | 東北大学 | 言語文化部 | 助教授 | (Kakenデータベース) |
石幡 直樹 | 東北大学 | 言語文化部 | 助教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】一般研究(B)
【研究期間】1992 - 1993
【配分額】5,000千円 (直接経費: 5,000千円)