統一ドイツの現状と未来-統合されるヨーロッパの中で-
【研究分野】広領域
【研究キーワード】
データベース / 統一ドイツ / マ-ストリヒト条約 / 統合ヨーロッパ / 外国人労働者 / 基本法 / 多文化社会 / ベルリン / 多文化 / マーストリヒト条約 / 東西ドイツ / 統一 / 中部ヨーロッパ / ゲンシャー / シュトルプ / シュタジ / コール
【研究成果の概要】
平成7年は研究費の支給は終了しており、活動はもっぱら研究成果の取りまとめと執筆事務に集中された。すでに平成6年中に東京大学出版会の協力の約束が得られていたが、7年2月までに研究メンバーによる打ち合わせが数回持たれ、書名を『ヨーロッパ=ドイツへの道』とすることとし、目次と執筆者、そして以下のような執筆基本原則が定められた。また、テーマ充実のために執筆者にはメンバー外に新たに早稲田大学の坪郷賓を招くこととなった。
(1)「統一ドイツの現状と未来」という研究テーマにふさわしく「統一されるヨーロッパ」の中のドイツという問題意識に立つこと。
(2)過去のたんなる総括や批判にとどまらず予想可能な将来への方向づけを含むこと。ただし、ジャーナリスティクな未来予想は避けること。
(3)統一を実現したBRD、あるいは失われたDDRの可能性へのノスタルジ-を越えた統一ドイツの視点に立つこと。
(4)それぞれの問題点について「制度」や「体制」の視点を一貫すること。
(5)専門研究を踏まえ広い読者に訴え得るものであること。
(6)日本との比較の視点を基盤に「なぜドイツ研究か」を明らかにすること。
報告では、序章で書名に示された我々の問題意識の解題を行い、第一部で、外交、法制、政治、経済を取り上げて「新しい連邦共和国」の体制の変化と問題点を明らかにするとともに、第二部では、国民国家と市民社会、フェミニズムと家族、統一と教会、知識人の動向を中心に統一ドイツの「新しい市民社会」の方向を探った。さらに、付録として、ドイツ統一後の基本法(憲法)改正の新旧対比、主要選挙結果、年表、索引、略語表、地図を付し、本報告を資料的にも充実したものにした。
ベルリンの壁の崩壊から6年半を経たが、上記基本原則にのっとり一応説得的な統一ドイツの見取り図と見通しを示すことができたものと信じている。本報告を提出するに当たり、本研究を支えてくれた「文部省科学研究一般(B)」の助成に感謝したい。
【研究代表者】