「海洋の歴史」研究の構築──領海主権・海洋権益・海洋社会をめぐって
【研究キーワード】
海洋 / 領海主権 / 海洋権益 / 海洋社会 / 中国 / 歴史学 / 安全保障 / 東アジア / 海軍
【研究成果の概要】
2019年(令和元)度は、当該科研費研究課題の初年度ということもあり、6月に科研費メンバー全員による最初の会合を持とうとしたが、台風が本州を直撃したため、関西のメンバーに限定して行った。その後、夏季休暇中の7月末にメンバー全員による研究計画の再調整、研究費の使用方法、研究調査の具体的な実施方法などについて詳細な打合せを実施した。その結果、1年目はアメリカで資料調査および討論会を行うことになった。参加者は代表の太田出のほか、研究分担者の川島真、土屋由香、奈良岡聰智、研究協力者の下平拓哉、林淑美、八木孝憲、楊峻懿、曽雪亭;の計9名であった。まず最初の10日間、ワシントンのNARA(アメリカ国立公文書館)へ赴き、戦後のアジア・太平洋地域における領海主権、海洋権益、海軍の動向などに関する大量の公文書を閲覧・収集・撮影した。続く4日間は、土屋がシカゴ大学へ、川島・奈良岡が帰国したのを除き、他のメンバーはニューポート(ロードアイランド州)のアメリカ海軍大学(Naval War College)へ行き、「Sea Power」論で有名な海軍少佐マハンの資料を閲覧・収集した。またアメリカ海軍大学では、大学の研究者5名と討論会を5時間ほど英語と中国語を交えて開催し、中国の海洋進出に関わる米中関係について率直な意見交換を行った。アナポリスの海軍兵学校も参観した。12月には、元海上自衛隊自衛艦隊司令官・山下万喜氏を京都大学へ招待し、米中を含む東アジアの安全保障について主に海上自衛隊の立場から講演していただき(参加者は30名ほど)、終了後、質疑応答、懇親会を実施した。春季休暇中の3月には、南太平洋のマーシャル諸島調査と年度末の研究会を行う予定であったが、前者はコロナのためやむなく中止、後者はズームを用いたオンライン会議で代貸した。翌年度にも前者は実施できず、関連資料の購入・分析を前倒しして行った。
【研究代表者】