アンコール遺跡を初めとするクメール遺跡の石材とその劣化に関する岩石学的研究
【研究キーワード】
アンコール遺跡 / クメール遺跡 / 石材 / 劣化 / 石切り場 / サンボール・プレイ・クック遺跡 / 硬砂岩
【研究成果の概要】
2021年度は新型コロナウイルスの世界的な感染が続いたため、カンボジア等において現地調査を行うことができなかった。したがって、2021年度では今までに採取し、まだ分析を行っていなかった遺跡の石材・劣化材に対して各種分析を行った。
具体的には、前アンコール期の寺院であり、クメール遺跡としては珍しく建築材として玄武岩が使用されているタ・ケオ州のAshram Maha Rosei寺院とコンポンチャム州のKuk Preah Theat寺院の玄武岩、並びに、その供給源を探るために採取してあったメコン川沿いのコンポンチャム州およびトボンクムン州の玄武岩に対し、偏光顕微鏡による観察、帯磁率測定、全岩化学組成分析、EPMAによる鉱物(かんらん石、輝石および長石)化学組成分析およびNd-Sr同位体比測定を行った。これらの分析・測定の結果、Ashram Maha Rosei 寺院とKuk Preah Theat寺院の玄武岩は、岩石組織も含めていずれの分析・測定結果においても似た傾向が認められ、供給地が同じである可能性が極めて高いことが分かった。また、両寺院に使用されている玄武岩はコンポンチャム州で採取した玄武岩と似ており、トボンクムン州の玄武岩とはかなり異なっていることから、両寺院の玄武岩はコンポンチャム州の玄武岩岩体から採取されたことが推測される。また、両寺院はメコン川あるいはその支流の近くに存在していることからメコン川を利用して運搬されたことが推測された。しかしながら、その石切り場自体は未発見であり、今後の課題として残されている。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
下田 一太 | 筑波大学 | 芸術系 | 准教授 | (Kakenデータベース) |
齋藤 有 | 早稲田大学 | 理工学術院 | 講師(任期付) | (Kakenデータベース) |
高谷 雄太郎 | 早稲田大学 | 理工学術院 | 主任研究員(研究院准教授) | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
【研究期間】2019-10-07 - 2025-03-31
【配分額】17,160千円 (直接経費: 13,200千円、間接経費: 3,960千円)