Discovery Sagaサイレントキーワード俯瞰

対象は25名のIVR医．防護眼鏡左レンズ外側部の外面と内面に線量計を貼付．レンズ外面の3mm線量当量（Do），内面の3mm線量当量（Di，頸部に装着した個人線量から推定される70μm線量当量（Dn）の相関関係を確認した．Do，Di，Dnの月平均値は，淳に0.89，0.40，1.18ｍSV．DoはDn，Diとそれぞれ強い相関を示した（r ＝ 0.91, 0.96）．年間Doが50mSVを超えた医師はいなかったが，3名（12％）で20mSvを超過した．防護眼鏡を用いないと水晶体等価線量限度を超えるIVR医の存在が示唆され，防護眼鏡を装着することは必須であると思われる．

本研究は，全国25名のIVR医の水晶体被ばくの現状を調査したものである．従来の規定では多くの医師では線量限度を超えることは無かったが，新規定では水晶体防護眼鏡を装着しないと限度を超える医師が存在することが判明した．線量限度を超えることは医師の健康被害をもたらすだけでなく，その医師が医療行為をできなる可能性があり，その場合は国民（患者）にとっての不利益が生じうる．IVR医師は放射線防護眼鏡を装着すれば回避することが示されたことは学術的，社会的にも意義がある研究であると考える．

【研究分担者】
永元啓介	産業医科大学	大学病院	診療放射線技師	(Kakenデータベース)
立野繁之	早稲田大学	理工学術院(情報生産システム研究科・センター)	教授	(Kakenデータベース)
八谷百合子	産業医科大学	産業保健学部	准教授	(Kakenデータベース)
栗山知子	産業医科大学	産業保健学部	特任助教	(Kakenデータベース)
茂呂田孝一	産業医科大学	産業保健学部	訪問研究員	(Kakenデータベース)

【研究分担者】
井上政則	慶應義塾大学	医学部(信濃町)	講師	(Kakenデータベース)
山本真由	帝京大学	医学部	講師	(Kakenデータベース)
古井滋	帝京大学	医療技術学部	教授	(Kakenデータベース)
清末一路	大分大学	医学部	准教授	(Kakenデータベース)
下平政史	名古屋市立大学	医薬学総合研究院(医学)	准教授	(Kakenデータベース)
五島聡	岐阜大学	医学部附属病院	准教授	(Kakenデータベース)
棚橋裕吉	岐阜大学	医学部附属病院	医員	(Kakenデータベース)