高齢・障害者の雇用政策・差別禁止法の効果研究:組織における人間行動の影響への着目
【研究分野】経営学
【研究キーワード】
経営学 / 人的資源管理 / 高年齢者・障害者 / 雇用政策 / 国際比較 / 障害者 / 高年齢者 / 国際研究
【研究成果の概要】
近年国際社会では、高年齢者・障害者雇用において差別禁止法に基づく政策への収斂が起きている。だが、先駆国においてでさえ同法の効果に懐疑的な研究報告がある。本研究の目的は、何が法や政策の効果を促進あるいは減退させるのかを国際比較研究により探究し、差別是正と雇用促進の道筋を理論的・実証的に導くことにある。
この課題に対し本研究は、国際社会の潮流とは逆流するが、「活躍する高年齢者・障害者の姿が具体的に示される→人々の中にある差別意識の希薄化→さらなる雇用拡大」という循環があると仮定し、当初の研究計画に基づき現状把握および理論構築のための文献調査を行い、また、日本および対象国の対してサーベイ調査およびヒアリング調査を行った。その結果、この仮定が概ね受け入れられるものであるとの見解に至った。そうであるならば、まず、雇用を具体的に実現させることこそが重要と考えられる。各国が主流とする差別禁止法に基づく政策(「機会の平等」政策)に対して、具体的な雇用促進を念頭に入れ、割当制度を維持する政策は、「結果の平等」政策ということが言えよう。実際に今年度の研究調査を通じて、一部の国では理念法としての差別禁止法が維持されながらも、具体的に雇用を促進するための割当制度を復活させていることが確認された。
政策が正しく稼働し、その目的を達成するためには、受け手である企業の人事管理、そして、組織における人間行動に着目する必要がある。人々の思考、心理、行動というミクロの集積がマクロを形成しており、したがって政策策定においては、複雑な人間行動を観察し、その特質を織り込むことが重要と考えられる。
【研究代表者】