一過性発現クローニングによるシグナル伝達分子の検索法の開発
【研究分野】免疫学
【研究キーワード】
チロシンキナーゼ / JAK / STAT / CIS / ノックアウトマウス / サイトカイン / チロシンりん酸化 / インターフェロン / SH2ドメイン / シグナル伝達 / APS
【研究成果の概要】
我々は活性化型c-kitやc-fmsを用いたtwo-hybrid法によって新規チロシンキナーゼ基質のスクリーニングを行い、これまでにAPS、STAP-1,2などの新規分子をクローニングした。さらに今回SH2ドメインなどを持たない全く新しいタイプの基質WARSを単離した。本分子にはショウジョウバエでRas-MAPキナーゼ抑制系に働くことが明らかにされているある分子に類似したドメインを有する。非常に興味深いことにWARSの強制発現によってEGFによるRasの活性化が抑制された。今後各種がん細胞での発現を調べ、本遺伝子を強制発現させた場合の造腫瘍能や転位能について調べる。さらにノックアウトマウスを作成して生理機能を明らかにする予定である。
さらに酵母two-hybrid systemによってJAK2のキナーゼドメインと直接結合しそのキナーゼ活性を抑制する分子JAB(JAK-binding protein)を見い出した。JABはJAK2のチロシンキナーゼドメインに直接結合し、その活性を抑制することを見い出した。JABの生理機能を明らかにするためにJABノックアウトマウスを作成した。JABノックアウトマウスは正常に生まれてくるが生後3週間以内に全て死亡し、胸腺、脾臓の萎縮と肝臓での脂肪の蓄積および多くの組織での炎症様の単球の侵潤が見られた。これらの表現型の一部はIFNγトランスジェニックマウスに似ている。実際JAB-/-マウスとIFNγ-/-マウスとのかけあわせによって症状が全く見られなくなった。しかしそればかりでなくRag2-/-マウスとのかけあわせによっても症状は消失した。さらにJAB-/-マウスの骨髄細胞をJAK3-/-マウスに移植するとリンパ球は再構築されるもののやがてマウスは死亡した。したがってJAB-/-による個体の死はT細胞とインターフェロンγに依存することが示された。JABはT細胞においては活性化を抑え、非リンパ系細胞ではIFNγ感受性を決める分子であることが明らかとなった。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
安川 秀雄 | 久留米大学 | 分子生命科学研究所 | 助手 | (Kakenデータベース) |
大坪 素秋 | 久留米大学 | 分子生命科学研究所 | 助手 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】1998 - 1999
【配分額】12,300千円 (直接経費: 12,300千円)