事業体に対する質保証の効率性測定や的確な改善方針提供を両立する動DEA手法の開発
【研究キーワード】
データ包絡分析 / 改善目標 / 実現コスト / 効率性の評価 / 効率性の改善方針 / 数理モデル / 動的手法
【研究成果の概要】
DEAは評価対象の事業体(Decision Making Unit, DMU)が効率的であるかどうかを判断するだけではなく、非効率的なDMUに対し、効率値と改善目標が両方与えられる。しかし、従来のDEAモデルでは、評価対象のDMUの効率性を改善するため、最大の改善量の改善目標を提供している。結局、提供される改善目標は評価対象のDMUから遠く離れ、実現するのが困難であるとしばしば批判されている。DEAの役割は単に効率性を測るだけではなく、効率性を改善する方法も提案できることが重要である。そういった観点から、最小の改善量で効率化を実現するモデルは最適であると考えられる。そこで、本研究では、近年盛んに研究されている最短距離DEAに注目し、より実用的な新最短距離DEAモデルの構築を目指している。
DEAでは、ほとんどの場合が複数の入力と出力となっている。最短距離DEAモデルは評価対象のDMUと改善目標の間の距離を最小化できるが、課題の一つは改善方向ごとに改善コストが異なる可能性があるため、距離が一番近くても、改善にかかる総コストが一番低いとは限らない。DEAの中の多くのモデルに関して、従来のモデルや最短距離DEAモデルはcost-blind(改善目標を実現するためにかかるコストのことを考慮されていない)である。しかし、DMUにとっては、なるべく改善コストを抑えたい。そこで、非効率的なDMUの効率性の改善を行う際に、改善目標の総実現コストを最小化する手法の開発が必要であると考えられる。今年度では、研究代表者の先行研究の考え方・成果を拡張することにより、改善目標の総実現コストの最小化を行った。具体的に、simulated datasetsを生成し、これらのデータセットを用いて、数値実験により、改善目標の総実現コストを最小化できる提案した手法の有効性を検証した。それと並行し、関連文献を調査し、提案手法の改善を検討した。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2021-04-01 - 2024-03-31
【配分額】3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)