利益情報の役割の再検討:収益性とリスクの評価に関する総合的研究
【研究キーワード】
利益情報の役割 / 変動する割引率 / 事業投資 / 金融投資 / 現在価値関係 / リスク / 財務諸表分析 / 組替財務諸表 / 主要顧客比率 / エンタープライズ
【研究成果の概要】
本研究の目的は,収益性とリスクの両面から利益情報の役割を再検討することである。このために,割引率が変動することを前提に,事業投資と金融投資を区別した概念的・理論的なフレームワークを構築したうえで,財務会計と管理会計の実証研究を実施した。
主たる成果として,事業投資と金融投資の総合的成果に焦点を当てる株主・投資家の視点ではなく,企業(エンタープライズ)の視点から企業価値評価モデルと資産価格モデルを拡張した新しい実証研究のフレームワークを提示した。さらに,時間的に変動する割引率を前提とした研究フレームワークの重要性や発生主義会計の有用性を明らかにするさまざまな実証結果を提示している。
【研究の社会的意義】
会計利益は投資のリスクが消滅し成果が確定したときに認識されることから,利益の大きさはリスクについての情報も有している。現代のように評価することが難しい新技術が次々に生み出されている社会においては,企業は競争優位を生み出すような差異を創出するために,これまで以上にリスクを負って事業を展開する必要がある。つまり,収益性だけでなくリスクに関する情報が重要になっている。
本研究の学術的・社会的意義は,これまでの会計研究では不十分であったリスクの側面にも焦点をあて,リスクと収益性の両面から利益情報の役割を検討することのできる分析フレームワークを提示し,さまざまな実証的証拠を提示したことにある。
【研究代表者】