ネットワーク環境における図書館の存在意義と社会的機能の理論化
【研究分野】情報図書館学・人文社会情報学
【研究キーワード】
図書館 / 印刷メディア / ネットワークメディア / 数理モデル / 近代社会 / ネットワーク・メディア
【研究成果の概要】
ネットワーク・メディアの普及は情報流通と知識蓄積の機制を著しく変えるため、伝統的な印刷メディアに基盤を置く図書館の存在意義は薄らぎ、その社会的機能は縮小の方向で見直さざるを得ない。それにもかかわらず、ネットワーク環境下の図書館について、新しい意義と機能を明示した理論は、図書館側からもアカデミズム側からもいまだ提起されていない。
本研究は、以下の4点を明らかにすることで、図書館の存在意義と社会的機能の理論化を目指した。(a)印刷メディアに特権的に依拠している近代図書館の存立を支える諸要件、(b)印刷メディアと特権的に結びついた近代社会におけるコミュニケーションの構成、(c)非印刷メディアの出現が、印刷メディアの意義と機能、および近代図書館の意義と機能に与えた影響、(d)ネットワークメディアと既存の印刷/非印刷メディアとの相違点と共通点、および3者の依存関係。
平成16年度は、(1)印刷メディアと近代図書館の存立要件に関しての文献調査に基づく整理とモデル構築、及び(2)非印刷メディアの出現と図書館の変容について研究を進めた。
平成17年度は、前年度の成果を踏まえ、(1)印刷メディアと近代図書館の存立要件に関する研究、(2)既存の印刷/非印刷メディアとネットワークメディアの関係の研究、および(3)非印刷メディアの出現と図書館の変容の研究を、有機的に関連づけながら進めた。
平成18年度は、16、17年度の成果を踏まえて、上記(d)を最終目標として、(1)近代図書館のモデル化とネットワーク環境における変容予測、(2)非印刷メディアの特性と影響の分析、(3)ネットワーク環境における図書館的機能モデルの構築の研究を行った。
また、おもに(a)(b)にかかわる単一言語性の問題をめぐって、カタロニア、ニュージーランド、カナダにおいて、印刷メディアと非印刷メディアの位置づけについての調査を実施した。
【研究代表者】