中東コア地域の政治社会に関する基本資料データベース構築に向けての基礎研究
【研究分野】情報図書館学・人文社会情報学
【研究キーワード】
中東 / トルコ / エジプト / 議会議事録 / 法令集 / 官報 / データベース / オスマン帝国 / 議事録
【研究成果の概要】
本研究においては、中東の政治社会法制研究の基本的出発点として、近代中東の政治社会データベースの構築のための基礎研究を行い、これを基にした研究資料群の整備提供を目指していた。とくに中東諸社会の中で歴史的なコアをなすエジプト、大シリア(シリア・レバノン・ヨルダン・パレスチナ)、およびトルコの三地域につき、議会議事録・官報・政府年鑑等の政治分析の基礎資料をデータ入力し、データベース化を行った。このうち今日の中東の起源であるオスマン帝国の政治社会法制については、法制基本資料である法令全書の目次をデータベース化し、もう一つの基本資料であるオスマン帝国官報のデータとの体系的照合を行い、法令テキストの対照インデックスを完成した。これらの成果は、ウェブ上で公開するとともに、トルコ文の序文解題を付して書籍の形で刊行を準備中である。公開後は、本データベースは、オスマン帝国およびその後継諸国家の法制・政治・行政研究における国際的にも最も重要な基本データとなろう。なおオスマン帝国の三番目の法制基本資料である帝国国家年鑑についても、テキスト画像のデジタル化を進め、将来データベース化する基礎作業を行った。現代アラブ世界の中心エジプトについても、議会議事録のデジタルインデックスの作成改訂を進め、本文画像の情報検索と利用方法の解説を付したデータベースを完成させ、ウェブ上で公開した。官報については貴重な初期資料の部分的なデジタル化を行い、さらに関連する政治経済専門用語のデータベース化の準備作業を行った。また、近代のヨーロッパとアジアの国際関係のキャピチュレーション・不平等条約問題についても、中東で成立したモデルをヨーロッパ列強がアジア他地域にも波及させたとの視角に立った研究の展望を追求すべく比較史的検討のための資料データベース形成の予備調査を行い、今後のプロジェクトで具体的作業に入る準備を完了した。
【研究代表者】