地方議会の議会活動に関する定量的研究:地方議会データベースの構築と活用
【研究キーワード】
地方自治 / 地方政治 / テキスト分析 / データベース / 地方議会
【研究成果の概要】
①データ整備:2021年度中に滋賀県・奈良県・和歌山県下の自治体議会データに、データクリーニングを完了させた。またすでに収集済みの大阪府・京都府・兵庫県下の自治体議会データについて、2019年度から2021年度分を追加収集した。さらに中国地方5県下自治体について2011年度から2021年度分の議事録データの収集を終えた。
②データ分析:議会審議そのものを対象とした分析を行ない、下記のような知見を得た。
・当初は厳しい対立関係にあった市長と議会でも、市長が当選を重ねると、徐々に一般的な首長-議会関係のような協調的な関係になるのかを分析した結果、市長の在職年数が長くなるにつれ、議会からのネガティブ発言の割合は低下し、協調していく傾向があることを明らかにした。ただし多選市長に対してはネガティブ発言が多くなる傾向もあることから、二次関数的な関係があることも予測された。
・50代後半の市長から、20代後半の市長に交代した自治体を対象として、市長の年齢と議会の反応の間に、どのような関係が見られるかを分析した結果、若い市長に対しては、議会全体としてより好意的な態度を示していることと、50代後半の市長に対しては50代以上の議員がより対向的な態度を示していることが明らかになった。
・議員の年齢構成と審議内容の関係を、自然言語処理技術を通じて分析した結果、同じ時期であっても、平均年齢の高い議会では「福祉行政」「認知症」「福祉避難所」「敬老会」など高齢者に向けた発言が多く見られた一方、平均年齢の低い議会では、「病児保育」「遊具」「避妊等」「乳児」など子供たちや育児関連の発言が多く見られており、議員の年齢構成を反映した審議が行われていることが明らかになった。
【研究代表者】