室町時代における書物史および読書史の研究
【研究分野】日本史
【研究キーワード】
書物史 / 読書史 / 日記 / 古記録 / 記憶 / 情報論 / 系図 / 酒宴
【研究成果の概要】
人間はいかにして書物と対峙し、書物というモノをいかにして取り扱い、書物のなかから自らに資する情報をいかに取捨選択して取り込んでいったのかという、身体論・情報論としての読書史・書物史研究を日本中世史の分野において進めていくことを研究目的に、本年度においては、昨年度にひきつづき、関連史料・関連図書を購入し、古文書・古記録に書きとめられた読書史的・書物史的記述の収集を行なった。
身体論的観点からの読書史研究については、二年間で集めた事例の分析を十分に行うことができておらず、また、限られた期間内での事例収集も完璧という段階にまで至らなかった。
また、この研究期間中、関連史料・図書の研究を進めてゆくなかで、本テーマと関連して新たに芽生えた関心が二点ある。
一点目は、武士が自らの先祖をいかに認識していたのか、先祖の事跡という記憶をいかなるかたちで子孫に伝え、これを書物化していったのかという記憶情報の伝達・文字化という問題である。これについては、中世武士の末裔が作成した系図・由緒書を多く所蔵する秋田県公文書館をフィールドに選び、史料収集を行なった。
二点目は、権力者が介在する「酒宴」について、これらの情報がいかにして記録され、伝達されていったのかという問題である。これについても関係文献・史料収集を行ない、史料分析に着手した。
【研究代表者】
【研究種目】若手研究(B)
【研究期間】2005 - 2006
【配分額】1,500千円 (直接経費: 1,500千円)