光の波動カオス現象に基づく情報処理と動的深層学習
【研究キーワード】
リザバーコンピューティング / 深層学習 / ニューラルネットワーク / ダイナミカルシステム / 波動カオス / スペックル / 高速ランダムパターン生成 / 光情報処理 / 光ニューラルネットワーク / 最適制御
【研究成果の概要】
本研究の目的の一つは,柔軟で高度な並列分散処理機能を光の物理現象に担わせることで認識・予測処理を高効率かつ高速に実行する光情報処理系を提案・実証することである。昨年度,光による仮想的な空間連続的ニューラルネット(光ニューラルフィールド)の概念を導入し,光ニューラルフィールドを生成するシリコンチップを製作した。これにより光ニューラルフィールドによる大容量のリザバー計算が可能となった。今年度は,カオス時系列予測,母音認識等の標準的なタスクに対して,その製作した光シリコンチップの処理能力を評価したところ,全てのタスクにおいて既存の光リザバー計算を超える性能があることを示した。特に,カオス時系列予測タスクにおいては,12.5GS/sでの入力レートに対する高速処理を示すことができた。2つ目の成果は,超高速現象の認識処理に向けた前処理系を構築したことである。本システムは,高速な光ランダムパターン生成器とそれを捉える検出系からなっており,高速に物体のイメージを時系列信号に変換することができる。実際,12.5GS/sのレートでスペックルと呼ばれる複雑パターンを生成し、それを物体に照射することで、12.5GS/sのレートでの時系列データ変換を示すことができた。また,認識したい物体をディスプレイに映した手書き数字として,その時系列データ変換を行い,主成分分析や多様体学習で低次元化させた結果,数字ごとのクラスタリングが可能であることを確認した。また,時系列データをニューラルネットで学習したところ96%以上の認識率を確認できた。3つの目の成果は, Direct feedback alignmentと呼ばれるランダム行列を用いた学習方法を最適制御の文脈に展開し,実際のシステムでの学習処理に応用可能としたことである。この成果に基づき,光電気遅延システムへの実装を検討中である。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
原山 卓久 | 早稲田大学 | 理工学術院 | 教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2020-04-01 - 2023-03-31
【配分額】18,330千円 (直接経費: 14,100千円、間接経費: 4,230千円)