ろう児のコミュニケーション調整能力の発達とその要因に関する調査
【研究キーワード】
ろう児 / 日本手話 / 語用論 / コミュニケーション / 心の理論 / 発達 / 手話
【研究成果の概要】
本研究の目的は,ろう児のコミュニケーションの調整能力が加齢とともにどのように発達し,またどのような要因がその発達に関わっているのかを明らかにすることである。2021年度は,アニメーション版心の理論課題(DIK 教育出版, 2021年)の手話版の作成とその検査,および参照コミュニケーション課題の実施を行った。調査は,日本手話を第一言語にした教育を行っている私立のろう学校において実施し,小学1年生4名,小学4年生6名,中学1年生6名のろう児が調査に参加した。本研究が使用した心の理論課題は,難易度の異なる5つの課題から構成されている。検査の結果,80%以上の正答率を示した課題の数は5課題中,小学生1年生で1課題,小学4年生で4課題,中学1年生で5課題であった。この結果は,オリジナルのアニメーション版の課題を使用し,定型発達児を対象とした先行研究(藤野他, 2013)の結果と類似している。このことから,ろう児も聞こえる子どもとほぼ同じ時期に心の理論を獲得していくことが示唆された。参照コミュニケーション課題は,二人一組になり,一人の子どもがもう一人の子どもに対し,互いに異なる複数の絵柄の位置と内容を教えるという課題である。2021年度は,対面で調査を行える時期が限られていたため,予定していた全てのデータを収集する事ができなかったが,同学年同士のコミュニケーションデータは収集することができた。得られた対話データを元に,アノテーションソフトELANを用い,データの逐語録の作成を開始した。逐語録の作成により,問題解決のための手話表現の発達を明らかにすることができる。2022年度は,参加児童の言語能力を測定するための言語検査の実施と,異学年同士のコミュニケーション課題の実施を予定している。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
高嶋 由布子 | 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所) | 研究所 脳機能系障害研究部 | 流動研究員 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2021-04-01 - 2024-03-31
【配分額】4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)