電磁波情報の適応処理のためのフェーザ四元数ニューラルネットの構築と工学的体系化
【研究キーワード】
ニューラルネットワーク / 偏波干渉合成傾向レーダ / 近距離レーダイメージング / フェーザ四元数 / 合成開口レーダ / ディジタル高度地図 / 植生・土地利用推定
【研究成果の概要】
本研究の目的は、偏波と位相の情報を整合的に扱うフェーザ四元数ニューラルネットワーク(Phasor Quaternion Neural Networks: PQNN)の理論を構築して、その有効性を偏波干渉合成開口レーダ(Polarimetric Interferometric Synthetic Aperture Radar: PoInlSAR)システムおよび移動体通信チャネル予測に適用してその性能向上を定量的に評価し、波動応用エレクトロニクスを中心に工学的に利用価値の高い体系化を行うことにある。これによって、近年その重要性が急増している知的な環境センシングや環境保全と災害軽減などの喫緊の課題の解決に貢献する。PQNNの利用は数自体が持つスパース性を導入することを意味し、このようなコヒーレントな電磁波センシング・イメージングのエレクトロニクスという汎用性が高い分野で工学利用する基礎を築く。
本年度は、偏波・干渉合成開口レーダ(PolInSAR)のPQNN適応処理による高精度DEMの生成に関して注目される、地表散乱地点での位相変化と偏波変化の一体化されたメカニズムの解明に大きな成果を得た。干渉合成開口レーダ(InSAR)では、2回の地表観測結果の位相差画像(干渉画像)を得ると、その位相値をアンラップしたものが標高を表すものとなる。しかしデータには通常、高密度の位相特異点が存在し、アンラップが容易でない。これまで様々なアンラップ手法が研究されてきたが、未だ決定的なものはない。そのため、この解決には、散乱メカニズムの解明が重要となる。本研究ではPQNNの考え方に基づき、散乱の位相変化と偏波変化の相関に注目し、そこに高い相関があることを見出した。そして、偏波情報を有効利用することにより、位相特異点を大きく減少させる手法の開発に成功した。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
夏秋 嶺 | 東京大学 | 大学院工学系研究科(工学部) | 講師 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(A)
【研究期間】2018-04-01 - 2023-03-31
【配分額】43,654千円 (直接経費: 33,580千円、間接経費: 10,074千円)