多言語社会パラオにおける実時間調査―20年後の経年変化―
【研究分野】言語学
【研究キーワード】
diglossia / colonial koine / feature pool / immigrant koine / ダイグロッシア / コロニアル・コイネー / フィーチャー・プール / 移民コイネー / North-West Pacific / リングア・フランカ / lingua frana / 日本町 / Japan town / 借用語の尺度 / borrowing scale / family language policy / semantic change / metaphor / metonymy / ellipsis / 意味変化 / メタファー / メトニミー / 省略 / culinary linguistics / language attitude / language loyalty / language purism / contact-induced loanword / food related loanword / 食に関する借用語 / Nikkei / パラオの日本語変種 / language obsolescence / language attrition / dialect obsolescence / Regression Hypothesis / borrowing / loanword / パラオ / 見かけ上の時間 / apparent-time studies / パネル調査 / トレンド調査 / 実時間調査 / trend study / panel study / real-time study / 借用語 / 経年変化
【研究成果の概要】
本研究では多言語社会パラオにおいて見かけ上の時間に加え、多様な実時間の分析手法を駆使し、多角的な視点から経年変化を調査考察した。20年後に追跡調査を行い、1997-1998年に収集したデータを基に開始した3つの研究プロジェクト― (1)多言語社会パラオのダイグロッシアの変遷、(2)パラオ語の借用語に関する意識、尺度、意味変化、(3)コロニアル・コイネーとしてのパラオ日本語の形成と消滅―の研究結果を再考した。複数の種類の実時間の分析手法を用いることで、本研究は現在主流を成している見かけ上の時間を用いた分析の妥当性を検証し、社会言語学研究の方法論の議論に寄与することができたと考える。
【研究の社会的意義】
本研究はこれまで実時間調査があまり行われてこなかった多言語社会において、ダイグロッシアや借用語、接触言語の研究に実時間調査を採用するという極めて前例の少ない斬新な事例を提供することができたと考える。またパラオ日本語のデータは言い換えれば日本統治時代を知る高齢者からの口述記録でもあるため、言語学研究のみならず歴史研究分野への貢献にも繋がる。戦争体験の風化が叫ばれる今日において、戦争体験の次世代への継承を図ることで一般社会に対して大きな貢献になりうると考える。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2016-04-01 - 2020-03-31
【配分額】11,310千円 (直接経費: 8,700千円、間接経費: 2,610千円)