並列オブジェクト指向計算におけるReflectionとその応用
【研究分野】情報学
【研究キーワード】
並列オブジェクト指向計算 / リフレクション / ABCL / R / R2 / Group Wide Reflection / 離散事象シュミレ-ション / Rbcl / 継承時の異常性 / 並列計算 / オブジェクト指向計算 / プログラミング言語 / 自己反映計算 / ソウトウェア / ソフトウェア
【研究成果の概要】
1.リフレクティヴ計算が表現可能となる並列オブジェクト指向言語ABCL/Rを設計し、その簡単な処理系を実装した(論文1)。
2.並列オブジェクトのグル-プ全体にわたるリフレクション機能という新しい概念を定義しこれGroupーWide Reflectionという名称をあたかえ(論文4、5、9)。
3.並列オブジェクト指向計算モデルの1つであるアクタ-モデルに基づくGroupーWide Reflection機能をつ計算モデルとその記述言語ACT/Rを考案・設計した(論文4、5、9)。
4.GroupーWide Reflectionに関して考察を加え、モデルの正当性やその応用などについて様々な結果を得た(論文4、5、9)。
5.ACT/Rの処理系のプロトタイプを作成した。
6.1で設計したABCL/Rに対して3によるGroupーWide Reflectionの成果をとりいれた新しいリフレクションの概念であるHybrid Group Reflectionを定義し、この概念に基づいたABCL/R2を提案した(論文6、13、14)。
7.上述の成果により、従来はプログラミング言語の中からは場あたり的にしか扱えなかった並列計算の諸側面、例えばスケジュ-リングなどが、リフレクションによりオブジェクトの計算資源の共有の協調動作としてモデル化できることを示し、複雑な離散事象シミュレ-ションなどの制御などが応用プログラムから同じ言語の枠組で簡潔に表現できることを実証した(論文13、14、11)。
8.並列オブジェクト指向リフレクションを離散事象シミュレ-ションのアルゴリズムの制御に応用することが可能なABCL/R2の処理系をOMRON社のLuna88k並列マシン上に作成し、その有効性を検証した。
9.並列オブジェクト指向言語の大きな問題であるInheritance Anomaly(継承時の異常性)に対して、リフレクションを用いた有効な解決方法があること幾つかの例題を用いて示した(論文6)。
10.並列オブジェクト指向言語の実行時カ-ネルには、中間コ-ドインタ-プリタ、メソッドヂスパッチ機構、ガ-ベ-ジコレクタなどの他にスケジュ-リングおよびノ-ド間通信を支援機能がある。しかし、アプリケ-ションの性質やハ-ドウエアのア-キテクチャ、実行環境の変化に応じて実行時カ-ネルの振舞いの変更の必要が生じる場合がある。特に分散環境ではその多様な複雑さから、そのような状況が多く発生する。そこで、実行時ル-チンをユ-ザが定義したものと動的に置き換え可能で、なおかつ高い記述性を持つ実用的リフレクティブア-クテクチャシステムRbClを構築した(論文8、11)。
その他:「国際ワ-クショップの開催」
研究分担者の松岡・渡部はACMが後援するリフレクションに関する国際ワ-クショップの組織者として,
(1)ECOOP/OOPSLA'90 Workshop on Reflection and Metalevel Architecture in ObjiectーOriented Programmingを、1990年10月21日カナダのOttwa市で、
(2)OOPSLA'91 Workshop on Reflection and Metalevel Architectures in ObjectーOriented Programmingを、1991年10月7日に米国Phoenic市で開催した。
【研究代表者】