量子状態制御と機械学習を用いた量子科学の変革
【研究キーワード】
量子機械学習 / 量子ダイナミクスシミュレーション / 量子コンピュータ / 量子状態制御 / 機械学習
【研究成果の概要】
本研究の目的は、NISQコンピュータを「目的とする量子系を実現する」ための量子状態生成マシンとして活用し、全体の量子系が一つの「高位量子計算機」として機能するための計算モデルを提案することである。そのために、1)ある量子物理系とその状態関数、2)量子状態を学習するためのNISQマシンの二つを開発の土台とする。令和3年度は、「量子データを入力とする量子機械学習(QML)」の研究と、「超伝導量子ビットのマイクロ波制御によるQML実装モデル」の調査を行った。
まず1)の量子物理系として、素粒子反応で起こるシャワー生成過程での量子ダイナミクスシミュレーションを採用し、期待される量子状態(波動関数)が生成されていることを確認した。2)のNISQマシンを使った状態学習として、生成した波動関数を量子データとして学習するQMLアルゴリズムの開発とシミュレータへの実装を行った。QMLとして古典ニューラルネットワークに着想を得た「量子畳み込みニューラルネットワーク」(QCNN)を採用することとし、粒子間の結合定数予測やフェルミオンの識別性能などの研究を進めてきた。量子物理系の波動関数を直接QMLで学習する研究は先行例が少なく、シャワー生成過程での量子ダイナミクスシミュレーションを入力とするQMLの先行例は存在しない。NISQマシンはノイズも多く量子ビット数も限られるため、古典計算の能力を上回る「量子加速」を実現するのは容易ではない。この量子ダイナミクスシミュレーションと量子データ学習をNISQマシンに実装することができれば、量子加速の実現に近づき意義は大きい。
超伝導量子ビットを制御するマイクロ波パルスまで含めた量子状態制御は先行例がなく、新しい試みである。そのため、まずマイクロ波パルス制御によるQMLアルゴリズムの実装が可能かどうかの調査研究を行った。
【研究代表者】
【研究種目】挑戦的研究(萌芽)
【研究期間】2021-07-09 - 2024-03-31
【配分額】6,110千円 (直接経費: 4,700千円、間接経費: 1,410千円)