循環系のホメオスタシスとその異常の基本原理に関する新しい統合的アプローチ
【研究分野】循環器内科学
【研究キーワード】
ホメオスタシス / 循環調節 / ゆらぎ / 分子生物学 / 数理モデル / 生体信号解析 / ニューラルネットワーク / 生体システム
【研究成果の概要】
「循環系のホメオスタシスとその異常を対象とした学際的交流・共同研究のための準備調査」という本研究の目的をふまえ、分担研究者による討議と「肝炎の数理モデル」をはじめとする共同研究を推進するとともに、公開シンポジウム「ホメオスタシスの現在(いま)」を、1998年2月28日(土)東京大学山上会館において以下の如く開催した。内容は、問題設定をより一般的な対象に向け「ホメオスタシス」をテーマとした。
第1部:循環系のホメオスタシス-へテロな並列分散
循環系の階層性と不均一性(栗原裕基)/循環ダイナミクス解析の新しい統合的枠組みとその要素(佐藤隆幸)/循環系の神経性調節・圧受容体反射の時間・空間的不均一性(桑木共之)/中枢神経系におけるリズム生成器の統御・マクロシステムとミクロシステム(河原剛一)/循環調節と病態・ゆらぎ・時間的不均一性の臨床的意義(大坂元久)/循環系のホメオスタシスにおける加齢変化(金承範)
第2部:感染と免疫-ホストとパラサイトの共存
ホストとパラサイト-数理生物学的視点から(瀬野裕美)/伝染病の数理モデル(稲葉寿)/ウィルスとホストとの攻防-共存への模索(高橋秀実)/慢性ウィルス性肝炎の数理モデルの試み(小北英輝・横山聡)
第3部:脳・神経系とホメオスタシス-ネットワークのダイナミクス
脳の数理モデルと動的安定性(合原一幸)/速応性と安定性を両立する作業記憶の力学系の探索:人工生命的アプローチ(中原裕之・銅谷賢治)/教師つき学習機械の能力と、学習される環境(渡部昇)/生体ゆらぎと神経系のダイナミクス(山本義春)/脳神経障害時の循環系の制御とゆらぎ(市丸雄平)
医学系・理工系を中心に、第一線の研究者や学生まで総数128名の参加を得た。本シンポジウムは、循環系に代表されるマクロな動的システムをさまざまな角度から捉え、学際的交流・共同研究を発展させるための礎として、極めて有意義であった。
【研究代表者】