園芸植物の嗜好と景観形成の統計学的研究
【研究分野】統計科学
【研究キーワード】
庭景観 / 訪問調査 / バーチャルガーデニング / 嗜好計測 / 印象計測 / 環境推論 / 環境の意味 / 国際比較 / 無作為抽出 / 嗜好テスト
【研究成果の概要】
園芸植物を用いてどのような屋外景観を個々人が各家庭で形成させているかの実態調査を日本と欧州で行った。対象家庭を詳細住宅地図や電話帳を用いて無作為抽出し、研究メンバー数人が直接訪問した。居住者の許可をえて、庭の景観写真の撮影、住人への園芸植物の好みなどのアンケート調査を行った。
調査戸数は、横浜市青葉区(78軒)、英国・レディング市(29軒)、エジンバラ市(15軒)、イタリア・トリノ市(23軒)、ドイツ・フライジング市(40軒)、であった。
収集した庭景観写真から得られる印象を、写真の類似性による主観的分類、質問項目への回答、庭の出身国の弁別などの実験で計測した。印象の計測を行った被験者は、日本人大学生、英国人学生、ドイツ人学生、イタリア人学生であった。日英の庭景観に対する国弁別では、日本人と英国人学生は自国と外国の庭を識別する能力が高いが、ドイツ人学生の識別力が弱いという興味深い結果が得られた。
庭景観写真から庭に存在するオブジェクトの有無を調べたところ、西洋の庭では、椅子、テーブル、スポーツ用品、薪、小屋などがあるが、日本の庭ではそのようなオブジェクトはあまり無かった。西洋と日本では庭の広さの違いもあるが、利用形態に大きな違いがあることが確認された。
パソコン上でゲームのように行えるバーチャルガーデニングシステムを完成させた。これは、被験者が57種類の草花を自由に選んで、パソコン画面上に花壇を好きなように作成してもらうシステムである。このとき、花壇の中で、どの花をどの位置にどの時刻に植えたかが自動的にパソコンに記録される。このシステムで被験者がどのような花を選び、どのように配置させたかを解析することで、被験者のもつ草花への嗜好が解析でき、嗜好の国際比較も行える。ドイツ人はダリアなどの赤や黄色のおおぶりの花を好む傾向にあるが、日本人は淡い色の花を好む傾向にあることなどがわかった。
【研究代表者】