[Top page] [日刊 研究最前線 知尋] [Discovery Saga総合案内] [大学別アーカイブス] [Discovery Saga会員のご案内] [産学連携のご案内] [会社概要] [お問い合わせ]

九州大学 研究Discovery Saga
2026年10月26日

「もっと頑張れ」だけでは理解は深まらない?学びにおける「好き」の役割

させられた努力は理解につながりにくいことが判明。学習や教育のあり方に新たな視点 システム生命科学府博士課程5年/基幹教育院 Yimeng Jin/ヨハン・ローレンス教授

【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
複合領域工学
【持続可能な開発目標(SDGs)】
【Sagaキーワード】
学習支援/心理学実験/持続可能/持続可能な開発
2026.10.23 研究成果Humanities & Social SciencesArt & Design

発表のポイント

学習において「頑張れば理解が深まる」と一般に考えられているものの、「好き」「努力」と「理解」の関係はまだ解明されていなかった
心理学実験で、求められた努力よりも、興味から生まれた自発的な努力(※1)のほうがより深い理解につながることを示した
興味を引き出す学習支援や、効果的な勉強アドバイスへの応用が期待される

発表概要

 「頑張って勉強すれば、理解が深まる」とよく言われます。しかし、自分から進んでする努力と、他者から求められた努力が、同じ効果をもつのかは明らかではありませんでした。また、学ぶ内容を「好き」かどうかが、努力とどう関わるのかも、よく分かっていませんでした。
 本研究では、学ぶ内容を「好き」だと感じるほど、自発的に努力する傾向がある一方で、必ずしも努力したからと言って「好き」にはならないことを明らかにしました。さらに、他者から求められた努力は、自分から進んでする努力に比べて、理解を深める効果が小さいことが分かりました。
 九州大学基幹教育院のヨハン・ローレンス教授、および大学院システム生命科学府博士課程5年のYimeng Jinらの研究グループは、大学生・大学院生計110名を対象に3つの実験を行いました。参加者は、初めて読む文章の内容を理解する課題に取り組みました。その際、内容への好感、費やした努力、理解の度合いを調べました。一部の実験では、説明したくない人に説明を求めたり、説明したい人を止めたりする条件(※2)を設け、自発的な努力と求められた努力の効果を比較しました。
 今回の成果は、「もっと頑張れ」と努力を求めるだけでは、学ぶ意欲や理解は十分に高まらない可能性を示しています。まず学ぶ内容への興味を育てることが、効果的な学習につながると考えられ、学校や家庭での学習支援のあり方を見直すきっかけになることが期待されます。
 本研究成果は、国際学術誌「Acta Psychologica」に2026年9月30日(水)(現地時間)に掲載されました。



図1 自分からの努力(①)は、させられた努力(②)よりも「分かった」という実感につながりやすい
研究者からひとこと
この実験の結果を見て、研究活動そのものにも同じことが当てはまるのではないかと感じました。私も自分が興味を持てるテーマだからこそ、「分かった!」と感動する瞬間にたくさん出会え、自然と一生懸命取り組むことができたのだと思います。子どもたちに「どうやって頑張ってもらうか」だけでなく、「どうやって好きになってもらうか」を、教育に関わる皆さんと一緒に考えていけたら嬉しいです。(Yimeng Jin)

論文情報

掲載誌:Acta Psychologica
タイトル:Effort Enhances Understanding, while Appreciation Drives Engagement in Cross-Sentence Semantic Processing
著者名:Yimeng Jin, Chunyu Ma, Danyang Liu, Junpeng You, Johan Lauwereyns
DOI:10.1016/j.actpsy.2026.107927
お問い合わせ先
基幹教育院 ヨハン・ローレンス 教授 九州大学への寄附はこちら
SDGs 3
SDGs 4
SDGs 8