高血圧に関わるホルモン産生を抑制する化合物を培養細胞で確認
―ホルモンの過剰産生を抑える創薬開発の手がかりとなる可能性―
【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
【持続可能な開発目標(SDGs)】
【Sagaキーワード】
2026年9月25日 14:00
研究者情報
〇大学院医学系研究科 学術研究員 尾坪優李ウェブサイト
発表のポイント
6,080種類の化合物から、高血圧の原因となるホルモン「アルドステロン」の産生を抑える化合物「化合物35」を見いだしました。化合物35は病気に関連する遺伝子変異を持つ培養細胞で、アルドステロンをつくる酵素の遺伝子発現とホルモンの分泌を低下させることを実験で確認しました。
化合物35は、ホルモンの過剰な産生を抑える薬の開発に向けた手がかりとなる可能性があります。動物やヒトでの有効性・安全性は今後のさらなる検証が必要です。
発表概要
高血圧の原因の一つに、副腎からアルドステロンというホルモンが過剰に分泌される「原発性アルドステロン症」(注1)があります。原発性アルドステロン症の新たな治療法の開発に向け、アルドステロンの過剰産生を抑える化合物が求められています。東北大学大学院医学系研究科尾坪優李学術研究員、菅原明教授、横山敦准教授らの研究グループは、同薬学研究科、東北医科薬科大学と共同で、6,080種類の化合物から、病気に関連する遺伝子変異を持つ培養細胞でアルドステロンの産生を抑える新たな化合物「化合物35」を見いだしました。この化合物は、アルドステロンをつくる酵素CYP11B2の遺伝子発現(注2)を低下させ、培養液中に分泌されるアルドステロン量を減少させる働きがあることが分かりました。本成果は、ホルモンが過剰につくられる仕組みに着目した薬の開発に向けた手がかりとなる可能性があります。
本成果成果は、2026年9月12日に、Biochemical and Biophysical Research Communications誌に掲載されました。

図1. 化合物35を見いだした研究の流れと主な結果
多数の化合物から候補を絞り込み、KCNJ5のL168R変異を導入した培養細胞で評価しました。化合物35は、CYP11B2のmRNA量とアルドステロンの分泌量を低下させました。
用語解説
注1. 原発性アルドステロン症:副腎でアルドステロンが過剰につくられ、高血圧などを引き起こす病気です。注2. CYP11B2と遺伝子発現:CYP11B2はアルドステロンの合成に必要な酵素です。遺伝子発現は、遺伝子の情報が読み出されることです。本研究では、その際につくられるmRNAの量を測定しました。
論文情報
タイトル:Identification of a novel small-molecule compound that suppresses depolarization-induced CYP11B2 expression and aldosterone production in KCNJ5 mutant adrenocortical cells.著者:Yuri Otsubo*, Hiroki Shimada, Keita Hoshi, Ryo Ito, Thanh Phuong Nguyen, Hiroyuki Yamakoshi, Kosuke Ohsawa, Hirofumi Ueda, Hidetoshi Tokuyama, Yoshiro Saito, Yoshiharu Iwabuchi, Takayuki Doi, Yasuhiro Nakamura, Akira Sugawara, Atsushi Yokoyama
*責任著者:東北大学大学院医学系研究科 分子内分泌学分野 学術研究員 尾坪優李
掲載誌:Biochemical and Biophysical Research Communications
DOI:10.1016/j.bbrc.2026.154584
詳細(プレスリリース本文)
問い合わせ先
(研究に関すること)東北大学大学院医学系研究科
分子内分泌学分野
学術研究員 尾坪 優李(おつぼ ゆうり)
TEL:022-717-8081
Email: yuri.otsubo.q2*alumni.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
准教授 横山 敦(よこやま あつし)
TEL:022-717-8081
Email: atsushi.yokoyama.c6*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
(報道に関すること)
東北大学大学院医学系研究科・医学部広報室
TEL: 022-717-8032
Email: press.med*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)


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