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東北大学 研究Discovery Saga
2026年9月28日

世界に先駆け、ナノポーラスβ-SiCを低温作製

―金属溶湯脱成分法で三次元ナノプレート構造を実現―

【注目の成果:共同研究・産学連携のためのチェックポイント】
前駆体の層状結晶構造がナノプレート形成に影響した可能性があり、LMDを共有結合性セラミックスの創製へ展開する新しい材料プロセスとして期待
【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
化学工学農学
【持続可能な開発目標(SDGs)】
【Sagaキーワード】
ケイ素/構造形成/耐熱性/溶融金属/材料プロセス/前駆体/エネルギー貯蔵/半金属/持続可能/無機材料/持続可能な開発/金属間化合物/SiC/ナノスケール/ナノメートル/ナノ構造/金属材料/結晶方位/構造制御/多孔質/多孔質材料/半導体/結晶構造/結晶性
2026年9月25日 14:00

研究者情報

〇金属材料研究所 教授 加藤秀実
研究室ウェブサイト

発表のポイント

金属溶湯脱成分法(Liquid Metal Dealloying: LMD)(注1)を用いて、ナノポーラス(注2)β-SiC(注3)の作製に成功しました。
従来の高温SiC合成プロセスと比べて大幅に低い1073 K(800 ℃)で、ナノプレートが三次元的に連結した結晶性β-SiCを形成しました。
前駆体の層状結晶構造がナノプレート形成に影響した可能性があり、LMDを共有結合性セラミックス(注4)の創製へ展開する新しい材料プロセスとして期待されます。

発表概要

炭化ケイ素(SiC)は、優れた耐熱性および化学的安定性を有するセラミックスです。中でもβ-SiCは、半導体・電子材料、触媒、エネルギー貯蔵材料など、幅広い分野への応用が期待されています。一方、SiCの合成には一般に高温処理が必要であり、ナノスケールの多孔質構造を同時に形成・制御することは非常に困難です。
東北大学金属材料研究所の卞筱(Bian, Xiao)学術研究員(研究当時、同大学大学院工学研究科博士課程学生)、和田武准教授、加藤秀実教授らの研究グループは、溶融金属を利用して特定の元素を取り除く「金属溶湯脱成分法」(Liquid Metal Dealloying: LMD)をSiCの作製に適用し、従来のナノ構造SiCの作製で用いられる1200 ℃以上の高温域に比べて大幅に低い800 ℃で、ナノメートルサイズの薄い板状構造(ナノプレート)が三次元的に連結したナノポーラスβ-SiCの形成に成功しました。本研究は、これまで主に金属・金属間化合物・半金属などに適用されてきたLMDの適用範囲を、共有結合性セラミックスへ拡張する成果です。今後、前駆体の層状結晶構造とナノプレートの成長・結晶方位との関係を明らかにすることで、ナノポーラスセラミックスの構造制御へつながることが期待されます。
本研究成果は、2026年9月4日に無機材料の構造・特性に関する国際専門誌Scripta Materialiaにオンライン掲載されました。



図1. 金属溶湯脱成分法によるナノポーラスβ-SiCの作製と構造形成の概念図。Mn5SiCからMnを選択的に除去することで、三次元的に連結したナノプレート構造を有するβ-SiCが形成されます。

用語解説

注1. 金属溶湯脱成分法(Liquid Metal Dealloying: LMD)
二種類以上の元素からなる固体前駆体を溶融金属に浸漬し、特定の元素のみを選択的に溶出させ、残された成分から多孔質構造を形成する手法。
2010 年に東北大学金属材料研究所加藤、和田らによって発明された。
注2. ナノポーラス
ナノメートルスケールの細孔や骨格を有する多孔質材料。
注3. β-SiC
炭化ケイ素(SiC)の結晶多形の一つで、立方晶構造を有する。
注4. 共有結合性セラミックス
原子間の強い共有結合によって構成されるセラミックス材料。SiCはその代表例の一つ。

論文情報

タイトル:Liquid Metal Dealloying Enables Low-Temperature Synthesis of Nanoporous β-SiC with an Interconnected Nanoplate Network
著者: Xiao Bian, Takeshi Wada, Hongyi Li, Ruirui Song, Mikihisa Fukuda, Nana Murata, Tetsu Ichitsubo and Hidemi Kato *
*責任著者:東北大学金属材料研究所 教授 加藤秀実
掲載誌:Scripta Materialia
DOI:10.1016/j.scriptamat.2026.117570

詳細(プレスリリース本文)

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学金属材料研究所
教授 加藤秀実
TEL: 022-215-2110
Email: hidemi.kato.b7*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
(報道に関すること)
東北大学金属材料研究所
情報企画室広報班
TEL: 022-215-2144
Email: press.imr*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)






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