巨大恐竜は、高緯度地域にも適応して営巣していた
【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
【持続可能な開発目標(SDGs)】
【Sagaキーワード】

概要
本研究では、アルゼンチン南部の白亜紀末期の地層から採集された大型の植物食恐竜ティタノサウルス類の卵殻化石を同定し、営巣方法を推定しました。同類の卵殻化石としては最も高緯度からの産出で、比較的高緯度の環境で巣材の中に卵を埋め、周囲の熱を利用して卵を温めていたことが分かりました。恐竜の卵殻化石が当時の高緯度地域から発見されることはまれです。北半球では、カナダ(当時の北緯57―60°)やシベリア(北緯70―75°)から報告がありますが、南半球の高緯度地域からは、確実な恐竜類の卵殻化石の報告は限られていました。
本研究では、アルゼンチン南部(当時の南緯55―60°)に分布する白亜紀末期(約6900万―6600万年前)のチョリロ層から、250枚以上の卵殻化石を採集し、比較的高緯度地域での恐竜類の営巣について調査しました。卵殻の微細構造の分析から、調査した標本はすべてFusioolithus卵属に分類されました。ティタノサウルス類と呼ばれる、首が長くて体が大きな植物食恐竜のグループが産んだ卵と推測されます。卵殻がきわめて多孔質であることから、営巣時、卵は湿度の高い環境、すなわち、土の中など、巣の素材に完全に埋められていたと考えられます。チョリロ層は比較的高緯度に位置していることを考慮すると、冷涼地域でも利用可能な熱源、すなわち、巣材に含まれる植物などの有機物が微生物によって分解される際に発する熱を利用して卵を温めていた可能性が高いと考えられます。
チョリロ層は、南半球において、確実に恐竜類のものと考えられる卵殻化石が見つかるもっとも高緯度の地域です。本研究によって、ティタノサウルス類が南半球の比較的高緯度地域でも、巧みに環境に適応して営巣していたことが明らかになりました。
PDF資料
プレスリリース研究代表者
筑波大学生命環境系田中 康平 准教授
国立科学博物館
真鍋 真 館長
掲載論文
- 【題名】
-
Titanosaur eggshells from the latest Cretaceous of Patagonia, Argentina: implications for nesting at high latitude
(白亜紀再末期のアルゼンチン・パタゴニアから見つかったティタノサウルス類の卵殻化石:高緯度地域での営巣に関する示唆) - 【掲載誌】
- Royal Society Open Science
- 【DOI】
- 10.1098/rsos.260333
関連リンク
生命環境系
筑波大学 研究