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九州大学 研究Discovery Saga
2026年9月8日

食品包装が「知能」を持つ時代へ

AIと自己修復機能を備えた次世代食品包装の研究指針を提案 農学研究院 田中史彦教授/田中良奈准教授

【注目の成果:共同研究・産学連携のためのチェックポイント】
食品品質のリアルタイム監視や賞味期限予測の高度化に加え、サプライチェーン全体の効率化や食品ロス削減への貢献が期待
【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
情報学複合領域工学農学
【持続可能な開発目標(SDGs)】
【Sagaキーワード】
AI/情報システム/人工知能(AI)/サプライチェーン/品質管理/持続可能/持続可能な開発/情報提供/機能性材料/自己修復/機能性/食品安全
2026.09.07 研究成果MaterialsTechnologyEnvironment & Sustainability

発表のポイント

世界では生産された食品の約3分の1が廃棄されており、食品ロス削減と食品安全確保が大きな課題となっています。
本研究では、鮮度を自ら判断する「インテリジェント包装」、損傷しても機能を回復する「自己修復包装」、そしてAIによる品質予測技術を統合した「Future-Ready Food Packaging(次世代食品包装)」の概念を提案しました。
今後は食品品質のリアルタイム監視や賞味期限予測の高度化に加え、サプライチェーン全体の効率化や食品ロス削減への貢献が期待されます。

発表概要

 食品ロスの削減や食品安全の向上は世界的な課題となっています。しかし、現在の食品包装の多くは酸素や水分、光などから食品を守る「受動的な保護」が中心であり、食品の品質変化を把握したり、包装の損傷を修復したりすることは困難でした。そのため、食品の状態をリアルタイムで把握し、流通や品質管理に活用できる次世代包装技術の開発が求められています。
 九州大学大学院農学研究院の田中史彦教授、田中良奈准教授らの研究グループは、食品包装分野の最新研究を体系的に分析し、インテリジェント包装(※1)、自己修復包装(※2)、人工知能(AI)を統合した「Future-Ready Food Packaging(次世代食品包装)」という新たな研究概念を提案しました。
 研究グループは、鮮度や腐敗を検知する機能性材料、損傷後も機能を回復できる自己修復材料、さらにAIによる鮮度判定や賞味期限予測技術に関する研究を整理・統合し、将来の食品包装が「知的な情報システム」へ発展する方向性を示しました。
 本研究成果は、食品ロス削減や物流の効率化、持続可能な食料供給システムの構築に貢献することが期待されます。
 本研究成果は、国際学術誌「Trends in Food Science & Technology」(IF=17.4)に2026年7月13日に掲載されました。
参考図 次世代食品包装の研究全体像:単なる「保護」から「知的な情報システム」への進化



食品包装が従来の受動的な保護機能から、腐敗検知、自己修復、AIによる品質予測、意思決定支援までを統合した情報システムへ進化する研究の概念図。包装が食品状態を検知し、デジタルデータ化し、AI解析を経て流通や消費者への情報提供につながる将来像を示している。
研究者からひとこと
食品包装は単なる保護材料から、食品の状態を理解し情報を提供する「知能を持つシステム」へ進化しようとしています。本論文では、そのために必要な材料技術、自己修復技術、AI技術を包括的に整理しました。今後は実際の食品流通環境で活用できる次世代包装技術の実現を目指します。(田中史彦)

用語解説

(※1)インテリジェント包装・・・鮮度や温度などを検知・表示する包装。
(※2)自己修復包装・・・傷や亀裂を自らで修復する包装。

論文情報

掲載誌:Trends in Food Science & Technology
タイトル:Toward Future-Ready Food Packaging: From Passive Protection to Intelligent, Self-Healing, and Data-Enabled Systems
著者名:Fanze Meng, Xirui Yan, Jiao Zeng, Amna Bibi, Xinrui Mao, Laras Putri Wigati, Tran Thi Van, Ata Aditya Wardana, Fumina Tanaka, Fumihiko Tanaka
DOI:10.1016/j.tifs.2026.105943
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お問い合わせ先
農学研究院 田中 史彦 教授
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