
ぼっち育ちのオタマジャクシは仲間への関心が低くなる
―社会性は血縁よりも経験が育てていた―
【注目の成果:共同研究・産学連携のためのチェックポイント】
![]() | 動物の社会性がどのように発達するのかを理解する手がかりとなるだけでなく、生物の行動発達や保全生態学への応用にもつながることが期待 |
【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
【Sagaキーワード】
この研究の主な対象者企業・研究者の方
公開日
※ 図のキャプションを一部修正しました。(2026年9月8日)
研究者情報
研究者名長谷 和子
Researchmap
概要
京都大学大学院地球環境学堂の長谷和子研究員は、アズマヒキガエル(Bufo formosus)のオタマジャクシを用いて、幼少期の社会経験と水環境が社会性に与える影響を調べました。多くの動物では血縁個体を識別する能力が知られていますが、幼少期の社会経験が仲間との関わり方にどのような影響を与えるかは十分に分かっていませんでした。本研究では、オタマジャクシを群れで育てる条件と単独で育てる条件、さらに水環境の異なる条件を組み合わせて行動実験を行いました。その結果、兄弟を優先して選ぶ行動は確認されませんでしたが、単独で育った個体は兄弟・他人を問わず他個体への接近が減り、中立的な場所に長くとどまることが分かりました。一方、水環境の違いによる影響は認められませんでした。これらの結果は、ヒキガエル幼生の社会性は血縁よりも幼少期の社会経験によって形成されることを示しています。本研究は、動物の社会性がどのように発達するのかを理解する手がかりとなるだけでなく、生物の行動発達や保全生態学への応用にもつながることが期待されます。本研究成果は、2026年8月6日に国際学術誌「Animal Cognition」に掲載されました。
研究者のコメント
「社会性は人間だけのものではなく、野生動物たちの世界にもいろいろな社会性を観察することができます。オタマジャクシの黒い群れを見たことのある方もたくさんいらっしゃると思います。あの小さなオタマジャクシも、いろいろな情報を元に仲間を認識しています。私たちは『生まれつきの能力』に注目しがちですが、この研究では、オタマジャクシでも幼少期の経験がその後の仲間との関わり方を左右することが分かりました。小さなオタマジャクシの研究ですが、『社会性は経験によって育まれる』という仕組みを理解する手がかりになれば嬉しいです。今回の研究結果が、オタマジャクシからのメッセージとして、人間を含めた動物の社会性について考えるきっかけになれば嬉しいです。」(長谷和子)
詳しい研究内容について
ぼっち育ちのオタマジャクシは仲間への関心が低くなる―社会性は血縁よりも経験が育てていた―書誌情報
【DOI】https://doi.org/10.1007/s10071-026-02090-0
【KURENAIアクセスURL】
http://hdl.handle.net/2433/303442
【書誌情報】
Kazuko Hase (2026). Social isolation, rather than kinship, influences association behavior in toad tadpoles (Bufo formosus).Animal Cognition, 29, 56.
京都大学 研究