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岡山大学 研究Discovery Saga
2026年8月31日

地球深部の主要鉱物は“ほぼ乾燥”していた

~深部の水の行き先が判明~

【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
環境学数物系科学工学農学
【Sagaキーワード】
地球科学/精密測定/SPring-8/マントル/下部マントル/高圧実験/高温高圧/高温高圧実験/地球深部/地球内部/放射光/放射光X線/惑星/惑星科学/溶解度/ダイナミクス/水循環/物質循環

2026年08月31日

岡山大学
愛媛大学
広島大学
帝京科学大学
京都大学
高輝度光科学研究センター

発表のポイント

地球深部の主要鉱物の一つデイブマオアイトが、従来想定よりはるかに少量しか水を取り込まないことを、超高精度高温高圧実験により明らかにしました。
これまで「下部マントルの水を担う可能性がある」と考えられてきたデイブマオアイトは、実際にはほぼ乾いた状態で存在することが判明しました。
この発見は、深部水が主に沈み込んだ地殻物質に集中するという新しい描像を提示しました。

 岡山大学学術研究院先鋭研究領域(惑星物質研究所)の石井貴之准教授、広島大学の高市合流特任助教、愛媛大学、帝京科学大学、京都大学、高輝度光科学研究センター、中国北京高圧研究センターの国際共同研究グループは、大型放射光施設SPring-8において、川井型マルチアンビル高圧発生装置と放射光X線を組み合わせ、地球下部マントルの主要鉱物であるデイブマオアイトの含水下の体積を、下部マントル最上部条件までの高温高圧下で精密測定しました。この成果は7月24日、英国の地球科学誌「Communications Earth & Environment」に掲載されました。デイブマオアイトの水含有量は、実験的に決定することが難しいため、地球深部の水循環モデルを構築するうえで大きな障壁となっていました。本実験結果から、乾燥・含水条件で合成したデイブマオアイトの体積はほぼ同じで、水溶解度は従来の推定の1/10以下(0.08 wt%以下)であることが明らかとなりました。主要下部マントル鉱物が水を保持しないことから、深部の水は沈み込む地殻物質に集中するという新しい水循環モデルを提案しました。本成果は地球内部の物質循環と進化の理解を大きく前進させるものです。
◆研究者からひとこと
今回の成果は、日本が世界をリードしてきた放射光×マルチアンビルプレス技術を、国内研究グループが最大限に融合させたことで実現しました。マルチアンビル実験は、「地球深部をそのまま実験室に再現できる」強力な手法として進化を続けています。この知と技を次世代へ継承し、学生や若手研究者が「自分もマルチアンビルで地球の謎に挑みたい」と心から思える環境を広げていきたいと考えています。興味を持たれた方は、ぜひ一緒に研究しましょう!


石井准教授

論文情報

論 文 名:Limited water incorporation in davemaoite under lower-mantle conditions
掲 載 誌:Communications Earth & Environment
著  者:Takayuki Ishii, Goru Takaichi, Yu Nishihara, Kyoko N. Matsukage, Shoichi Itoh, Yanhao Lin, Tetsuo Irifune, Daijo Ikuta, Bin Zhao, Dilan H. F. Diyalanthonige, Noriyoshi Tsujino, Sho Kakizawa, Yuji Higo
D O I:10.1038/s43247-026-03856-7
U R L:https://www.nature.com/articles/s43247-026-03856-7

研究資金


<詳しい研究内容について>
地球深部の主要鉱物は“ほぼ乾燥”していた~深部の水の行き先が判明~


<お問い合わせ>
【研究内容に関するお問い合わせ】
岡山大学 学術研究院先鋭研究領域(惑星物質研究所)
准教授 石井貴之
(電話番号)0858-43-3754(FAX)0858-43-2184

広島大学 大学院先進理工系科学研究科
特任助教 高市合流
(電話番号)082-424-5271(FAX)082-424-0735

愛媛大学 先端研究院地球深部ダイナミクス研究センター
教授 西原遊
(電話番号)089-927-8150(FAX)089-927-8405

帝京科学大学 生命環境学部 自然環境学科
教授 松影香子
(電話番号)03-6910-1010(FAX)03-6910-3800

京都大学 大学院理学研究科 地球惑星科学専攻
准教授 伊藤正一
(電話番号)075-753-4152(FAX)075-753-4189

高輝度光科学研究センター
回折・散乱推進室 試料環境開発チーム
研究員 辻野典秀
(電話番号)050-3496-8988