[Top page] [日刊 研究最前線 知尋] [Discovery Saga総合案内] [大学別アーカイブス] [Discovery Saga会員のご案内] [産学連携のご案内] [会社概要] [お問い合わせ]

九州大学 研究Discovery Saga
2026年8月27日

マイクロ波でCO₂吸着材を高速再生

省エネルギーな二酸化炭素回収技術へ カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所/工学研究院 椿俊太郎 教授

【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
化学工学農学医歯薬学
【持続可能な開発目標(SDGs)】
【Sagaキーワード】
分子構造/反応場/反応制御/アミン/選択性/カーボンニュートラル/持続可能/省エネ/細孔構造/持続可能な開発/誘電特性/イオン伝導/材料設計/電気伝導/カーボン/電気伝導性/エタノール/シリカ/マイクロ/マイクロ波/省エネルギー/二酸化炭素/マイクロ波加熱/生物資源/分子設計
2026.08.26 研究成果Environment & Sustainability

発表のポイント

アミン吸着材(※1)の再生時の加熱に多くのエネルギーを要することが課題です。
アミンがCO₂との反応で生成したイオン種が、マイクロ波(※2)加熱特性を向上させる機構を明らかにしました。
従来の伝熱加熱と比較して、マイクロ波加熱では最大16.5倍のCO₂脱離速度を達成しました。

発表概要

 カーボンニュートラルの実現に向け、排ガスや大気中からCO₂を選択的に分離回収する技術の高度化が求められています。アミン吸着材はCO₂に対する高い反応性と選択性を有する代表的な回収材料ですが、回収したCO₂を脱離させて再生する工程では、従来の伝熱加熱に伴うエネルギー損失や昇温・冷却時間が課題となります。また、長時間の加熱はアミンの劣化や揮発を招く可能性もあります。このため、CO₂を保持する活性部位へ選択的にエネルギーを与え、短時間で再生できる加熱法と吸着材設計が必要とされています。
 九州大学カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所附属三井化学カーボンニュートラル研究センター兼九州大学大学院工学研究院の椿俊太郎教授、Mahesh Nair学術研究員(当時)、Obey Gotore学術研究員、大学院生物資源環境科学府の原理佳子(大学院生 当時)、大学院農学研究院の井倉則之教授、および金沢大学の山田秀尚教授らのグループは、CO₂吸着部位をマイクロ波で選択的に加熱し、アミン吸着材を迅速に再生するための材料設計を明らかにしました。構造の異なるアミンについて、誘電特性、電気伝導性およびCO₂取込量を評価した結果、CO₂との反応で生じるカルバメートや重炭酸イオンなどのイオン性化学種が、CO₂回収だけでなくマイクロ波エネルギーを熱へ変換する過程にも重要であることを明らかにしました。特にモノエタノールアミン(MEA)は高いCO₂取込量とイオン伝導性を示し、これをシリカ(※3)やゼオライト(※4)に固定化した吸着材では、従来加熱と同一温度で最大16.5倍のCO₂脱離速度を達成しました。さらに、担体の細孔構造や誘電特性も発熱と脱離挙動に影響することを示しました。本成果は、アミンと担体の分子設計により、迅速かつオンデマンドなCO₂回収プロセスの構築に貢献するものです。
 本研究成果は雑誌「Journal of Physical Chemistry C」に2026年8月7日(金)にオンライン掲載されました。
図1. マイクロ波によるCO2脱離加速のイメージ



研究者からひとこと
本研究では、アミンの分子構造によるマイクロ波吸収性の変化に着目し、CO₂を効率的に脱離できる吸収剤の設計を示しました。今後は、この知見を基盤として、マイクロ波により必要な反応場だけへ選択的にエネルギーを与える技術をさらに発展させたいと考えています。省エネルギーなCO₂回収に加え、マイクロ波による自在な化学反応制御法の確立にも結び付けていきます。(椿俊太郎)

論文情報

掲載誌:The Journal of Physical Chemistry C
タイトル:Rational Design of CO₂ Sorbents Based on Microwave-Matter Interaction for Rapid Dielectric Heating Regeneration
著者名:Mahesh Muraleedharan Nair、Rikako Hara、Obey Gotore、Hidetaka Yamada、Noriyuki Igura、Shuntaro Tsubaki
DOI:10.1021/acs.jpcc.6c02465
本件の詳細はこちら

お問い合わせ先
カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所/工学研究院 椿俊太郎 教授 九州大学への寄附はこちら
SDGs 7
SDGs 9
SDGs13