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名古屋大学 研究Discovery Saga
2026年8月25日

糖鎖の「多様さ」を測る共通ものさしを開発

―創薬標的やバイオマーカー候補探索の足場へ期待―

【注目の成果:共同研究・産学連携のためのチェックポイント】
糖鎖を専門としない研究者や企業が複雑な結果を整理し、創薬標的やバイオマーカー候補を探索する足場になると期待
【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
情報学総合理工工学総合生物医歯薬学
【Sagaキーワード】
Linked Data/情報学/質量分析/統計解析/診断法/アルツハイマー病/受容体/創薬/バイオマーカー/脂質



情報学
2026.08.25

研究のポイント

・同じタンパク質に付く糖鎖注1)の「ばらつき」を、糖鎖付加部位ごと・タンパク質ごとに数値化する共通の枠組みを示した。
・糖鎖を大きさ、枝分かれ、フコース化(糖鎖に「フコース」という単糖が付くこと)などの特徴に分解し、群間差を検定するRパッケージ注2)「GlycoTraitR(グライコトレイトアール)」を開発した。
・公開アルツハイマー病脳データで、平均量だけでは捉えにくい糖鎖多様性の変化を検出し、ソフトウェアを無償公開した。
・複雑な結果を整理し、創薬標的やバイオマーカー候補を探索する足場になることが期待される。
 
名古屋大学 糖鎖生命コア研究所の張 秉元 特任助教、檜森 弘一 助教、松井 佑介 准教授らは、質量分析データから糖鎖の構造的な多様さを定量・比較する「GlycoTraitR」を開発しました。タンパク質の多くには、枝分かれした「糖鎖」が結合し、安定性、細胞同士の認識、受容体の働きなどを調節します。同じタンパク質の同じ場所にも複数種類の糖鎖が付きますが、病気や環境に伴ってこの多様さがどの程度変わったかを、統一的に測る方法はありませんでした。
本研究では糖鎖を解釈しやすい特徴へ変換し、一つの糖鎖付加部位とタンパク質全体を同じ枠組みで解析します。公開アルツハイマー病脳データでは、糖鎖の成熟度、枝分かれ、構造的な多様性の変化を抽出できました。
本成果は、糖鎖を専門としない研究者や企業が複雑な結果を整理し、創薬標的やバイオマーカー候補を探索する足場になると期待されます。ただし、解析技術の実証であり、臨床診断法の確立を示すものではありません。
本研究成果は、2026年8月24日に国際学術誌「Bioinformatics Advances」にオンライン掲載されました。
 
◆詳細(プレスリリース本文)はこちら
 

用語解説

注1)糖鎖:
ブドウ糖などの単糖が鎖状または枝分かれしてつながった分子。タンパク質や脂質に結合し、細胞間認識やタンパク質機能の調節に関わる。
注2)Rパッケージ:
統計解析言語Rで利用できる、特定の解析機能をまとめたソフトウェア。
 

論文情報

雑誌名:Bioinformatics Advances
論文タイトル:GlycoTraitR: an R package for characterizing structural heterogeneity in N-linked glycoproteomics data
著者:Bingyuan Zhang, Koichi Himori, Yusuke Matsui(責任著者)
DOI:10.1093/bioadv/vbag244
URL:https://doi.org/10.1093/bioadv/vbag244
 
 
【ソフトウェア・データ】
Bioconductor:https://bioconductor.org/packages/glycoTraitR
GitHub:https://github.com/matsui-lab/glycoTraitR
解析ガイド:https://matsui-lab.github.io/glycoTraitR/
実証データ(処理済み):https://zenodo.org/records/21386154
 

研究代表者

糖鎖生命コア研究所/大学院医学系研究科 松井 佑介 准教授,主著者:張 秉元 特任助教
https://matsui-lab.github.io/matsui-lab-site/