[Top page] [日刊 研究最前線 知尋] [Discovery Saga総合案内] [大学別アーカイブス] [Discovery Saga会員のご案内] [産学連携のご案内] [会社概要] [お問い合わせ]

科学技術振興機構 研究Discovery Saga
2026年8月24日

天然のキチン結合たんぱく質を人工進化させ、プラスチック表面認識たんぱく質を開発

~駿河湾で採取したマイクロプラスチックの蛍光染色に成功~

【注目の成果:共同研究・産学連携のためのチェックポイント】
マイクロプラスチックの簡便な検出への応用が期待
【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
環境学化学工学総合生物農学医歯薬学
【Sagaキーワード】
マイクロプラスチック/ピレン/スチレン/ディスプレイ/ポリエチレンテレフタレート/ポリスチレン/高分子/プロピレン/ポリエチレン/プラスチック/マイクロ/たんぱく/エチレン/変異体/セルロース/キチン/アミノ酸/ファージ/生体高分子

2026(令和8)年8月21日
静岡大学
科学技術振興機構(JST)

発表のポイント

本来キチンを認識して結合するたんぱく質「PfChBD2」を改変し、プラスチック表面を認識する性質を持たせました。
PETへの結合性を向上させ、キチンやセルロースへの結合を大幅に低減した変異体を取得しました。
駿河湾から採取したマイクロプラスチックを蛍光染色することに成功しました。
マイクロプラスチックの簡便な検出への応用が期待されます。

静岡大学 大学院自然科学系教育部 バイオサイエンス専攻の橋野 嘉仁(博士課程2年)、静岡大学 農学部・グリーン科学技術研究所の中村 彰彦 教授、東海大学の広瀬 慎美子 教授(現所属:国立科学博物館)は共同で、本来キチンを認識するたんぱく質「PfChBD2」を改変し、プラスチック表面を認識してマイクロプラスチックを蛍光染色できるたんぱく質の開発に成功しました。
本研究では、PfChBD2の表面にランダムにアミノ酸変異を導入し、ファージディスプレイ法を用いて、ポリエチレンテレフタレート(PET)に結合する変異体を選抜しました。最初の選抜では、野生型と比べてPET表面への最大結合量が約2倍となり、キチンへの結合が大きく低下した変異体を取得しました。さらに、キチン認識に重要なアミノ酸を追加で改変および選抜することで、PETへの結合性を維持しながら、キチンやセルロースへの結合を大幅に低減した複数の変異体を得ました。
なかでも「VFF」と名付けた変異体は、PETへの比較的高い結合性と、キチン・セルロースへの極めて低い結合性を示しました。また、VFF変異体はPETだけでなく、他のプラスチックにも結合を示しました。さらに、VFFと赤色蛍光たんぱく質を融合させたたんぱく質を用いることで、駿河湾から採取したポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレンのマイクロプラスチックを蛍光染色できました。
本研究は、天然の生体高分子を認識するたんぱく質の結合特性を、人工高分子であるプラスチックの認識へと改変できることを示したものです。
なお、本研究成果は、2026年8月17日(現地時間)付で、国際学術誌「ACS Synthetic Biology」に掲載されました。
本研究は、科学技術振興機構(JST) 創発的研究支援事業(JPMJFR210C)の支援を受けて実施されました。

<プレスリリース資料>

本文 PDF(486KB)

<論文タイトル>

“Turning a Natural Biopolymer-Binding Protein into a Plastic Surface-Recognizing Protein”
DOI:10.1021/acssynbio.6c00479

問い合わせ先

<JST事業に関すること>

永井 諭子(ナガイ サトコ)
科学技術振興機構 創発的研究推進部
〒102-0074 東京都千代田区九段南3丁目3-6 麹町ビル3階
Tel:03-5214-7276
E-mail:souhatsu-inquiry

jst.go.jp

<報道に関すること>

静岡大学 広報・基金課
Tel:054-238-5179
E-mail:koho_all

adb.shizuoka.ac.jp
科学技術振興機構 広報課
〒102-8666 東京都千代田区四番町5-3 サイエンスプラザ
Tel:03-5214-8404 Fax:03-5214-8432
E-mail:jstkoho

jst.go.jp