レモンを加害する蛾「レモンニセスガ」が日本に侵入!
―国産レモン栽培に新たな外来害虫リスク― 生物資源環境科学府博士課程1年/農学研究院 岡太陽/屋宜禎央 助教
【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
【持続可能な開発目標(SDGs)】
【Sagaキーワード】
2026.08.20
研究成果Environment & Sustainability
発表のポイント
小笠原諸島の父島、対馬、沖縄島、西表島から「レモンニセスガ」を日本で初めて記録。父島で栽培されている菊池レモンにおいて、幼虫による花蕾や若い果実、葉の食害を確認。DNA情報からオーストラリアが本種の有力な起源地候補と示唆。
苗木の移動に伴い、本土のレモン栽培地へ侵入・拡大する可能性。今後の発生状況に注意。
発表概要
近年の物流の拡大により、農作物を加害する外来害虫の侵入・定着リスクが高まっています。とくに、苗木などの植物の移動は、小さな昆虫や卵を気づかないうちに運んでしまう可能性があります。九州大学大学院生物資源環境科学府博士課程の岡太陽氏と、九州大学大学院農学研究院の屋宜禎央助教の研究グループは、日本各地で採集された未同定のニセスガ科蛾類標本を形態観察とDNA解析に基づき再検討したところ、父島、対馬、沖縄島、西表島で得られた標本から、レモンの花蕾や若い果実を食害する Prays nephelomima を日本で初めて確認しました。本種には、和名として「レモンニセスガ」を提唱しました。
さらに、父島で「小笠原島レモン」として栽培・利用されている菊池レモンで、幼虫による花蕾や若い果実、葉への食害を確認しました。また、海外産個体のDNAデータと文献記録を再検討した結果、オーストラリアが本種の有力な起源地候補であることが示唆されました。
現在、日本での確認地点は島しょ部に限られていますが、苗木の移動に伴い本種が本土部のレモン栽培地へ侵入・拡大する可能性もあり、今後の発生状況に注意が必要です。
本研究成果は、国際学術誌「Applied Entomology and Zoology」に 2026年8月20日(木)10時(日本時間)に掲載されました。

レモンニセスガの幼虫と成虫(上段) 加害された花と蕾(下段)
研究者からひとこと
レモンニセスガは、はねを広げても1 cmほどの小さな蛾ですが、幼虫はレモンの花や若い果実の中に入り込み、気づかないうちに被害を出す可能性がある、なかなか手ごわい害虫です。今回、日本各地での野外調査、博物館標本、文献記録、DNA解析をつなげることで、本種が日本各地で侵入している現状と実際の被害状況を知ることができました。
小さな虫の記録でも、積み重ねれば農業や生物多様性を守る大事な情報になります。皆さんのお近くのレモンは大丈夫でしょうか?少し気にして見ていただけるとうれしいです。(岡太陽)
論文情報
掲載誌:Applied Entomology and Zoologyタイトル:Invasive citrus flower moth, Prays nephelomima (Lepidoptera: Praydidae) in Japan: illustrated morphology, invasion pathways, and feeding damage on lemons
著者名:Taiyo Oka, Sadahisa Yagi
DOI:10.1007/s13355-026-00986-4
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