タンパク質の金属イオン結合部位を高精度・高速に予測する深層学習法を新規開発
~金属酵素設計、メタロプロテオーム解析、創薬への貢献に期待~(地球環境科学研究院 教授 小野田晃)
【注目の成果:共同研究・産学連携のためのチェックポイント】
![]() | クライオ電子顕微鏡などの実験から得られる構造やAlphaFold2の予測構造にも有効であり、大規模なメタロプロテオーム解析への応用が期待 |
【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
【Sagaキーワード】
アルゴリズム/言語モデル/深層学習/金属酵素/遷移金属/構造モデル/地球環境/カリウム/金属イオン/電子顕微鏡/アミノ酸配列/クライオ電子顕微鏡/金属タンパク質/ナトリウム/アミノ酸/プローブ/創薬/立体構造
2026年8月18日
発表のポイント
●アミノ酸配列と立体構造に基づいて14種類の金属イオンの結合部位を予測する「PRIME」を開発。●高精度かつ高速な予測でタンパク質の大規模データベースから金属タンパク質の探索が可能に。
●金属タンパク質の機能解明と利用、未知金属タンパク質の発見、創薬応用への貢献が期待。
発表概要
北海道大学大学院地球環境科学研究院の許 仕傑博士研究員、小野田晃教授の研究グループは、金属タンパク質の金属イオン結合部位を高精度かつ高速に予測する深層学習の新手法「PRIME(プライム)」を開発しました。金属タンパク質は全タンパク質のおよそ3分の1を占め、物質の変換や、金属イオンの量を一定に保つはたらき(恒常性の維持)など生命活動の根幹を担う機能を有しています。その機能の理解には金属イオンの結合部位を正確に特定することが重要です。しかし、アミノ酸配列や立体構造のどちらか一方の情報のみを使って金属イオン結合部位を予測する従来法は、予測精度・計算速度・予測できる金属イオンの種類という三つの点で課題がありました。
「PRIME」は、アミノ酸配列を扱うタンパク質言語モデルと、立体構造を扱う事前学習済みの構造モデルを統合し、両者を橋渡しする独自の「プローブ生成アルゴリズム」で金属イオン結合部位の候補点を効率的に絞り込むことで、この課題を解決しました。その結果、遷移金属(亜鉛・鉄・銅など)に加え、結合が弱く従来予測が難しかった非遷移金属(ナトリウム・カリウムなど)を含む14種類の金属イオンで、従来法を上回る精度を達成しました。しかも、1タンパク質鎖あたり約11秒という高速で予測できます。クライオ電子顕微鏡などの実験から得られる構造やAlphaFold2の予測構造にも有効であり、大規模なメタロプロテオーム解析への応用が期待されます。PRIMEはWebサーバー(https://onodalab.ees.hokudai.ac.jp/prime)として無償で公開されています。
なお、本研究成果は、2026年8月11日(火)公開のNature Communications誌にオンライン掲載されました。
論文名:Probe-Based Identification of Metal-Binding Sites Using Deep Learning Representations(深層学習表現を用いたプローブに基づくタンパク質金属イオン結合部位の同定)
URL:https://doi.org/10.1038/s41467-026-74657-x
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本研究の概要図
北海道大学 研究