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自然科学研究機構 基礎生物学研究所 研究Discovery Saga
2026年7月25日

無花粉スギ(MS2タイプ)の候補遺伝子を同定

-花粉を作らない原因の解明に前進-

【注目の成果:共同研究・産学連携のためのチェックポイント】
無花粉スギの遺伝的理解を深めるとともに、花粉発生源対策に向けた技術基盤として活用が期待
【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
総合生物農学医歯薬学
【Sagaキーワード】
候補遺伝子/ゲノム配列/花粉/DNAマーカー/スギ/リパーゼ/染色体/ゲノム/遺伝子/遺伝子発現

2026.07.23
森林総合研究所
新潟大学
自然科学研究機構 基礎生物学研究所
岡山大学

発表のポイント

・無花粉スギ(MS2タイプ)の最有力候補遺伝子を同定
・花粉形成に働く酵素遺伝子の1塩基変異を発見
・DNAマーカーにより幼苗段階でMS2タイプ無花粉スギの選抜が可能に

概要

国立研究開発法人森林研究・整備機構森林総合研究所、新潟大学、東京大学、基礎生物学研究所、新潟県森林研究所、岡山大学の研究グループは、スギ花粉症対策に活用される無花粉スギの一種「MS2タイプ」について、花粉形成に関わる最有力候補遺伝子を明らかにしました。MS2タイプは、花粉をほとんど作らない有用な性質をもつ一方、その遺伝的な仕組みは未解明でした。本研究では、人工交配家系の遺伝解析によりMS2遺伝子が存在する領域を第5染色体上に絞り込み、スギ参照ゲノム配列を用いて同領域内の遺伝子を調べました。さらに雄花での遺伝子発現やDNA配列の変異を解析した結果、GDSL型エステラーゼ/リパーゼ(GELP)遺伝子をMS2タイプの最有力候補遺伝子として同定しました。また、GELP遺伝子の変異を検出するDNAマーカーを開発し、MS2タイプをDNAレベルで判定する方法を示しました。

本成果は、無花粉スギの遺伝的理解を深めるとともに、花粉発生源対策に向けた技術基盤として活用が期待されます。本研究成果は、2026年5月19日にBMC Genomics誌でオンライン公開されました。



図1 正常なスギとMS2タイプの無花粉スギの雄花の比較
正常なスギ(左側)とMS2タイプの無花粉スギ(右側)の雄花を比較しました。スギの雄花は枝先に多数まとまって付きますが、その中から1つの雄花を取り出し、ナイフで切断した横断面を顕微鏡で観察しました。四分子期(9月中旬ごろ)の正常なスギでは、花粉のもとになる細胞が4個まとまった「四分子」が花粉嚢内に観察されます(A)。一方、MS2タイプの無花粉スギでは、四分子が正常に分離せず、密に集まった異常な形態を示します(B)。成熟期の正常なスギでは、花粉嚢の中に多数の花粉粒が詰まっています(C)。一方、MS2タイプの無花粉スギでは、大部分の花粉嚢では花粉粒がほとんど形成されず、花粉粒のような粒子が形成される場合でも、それらは凝集していて一粒ずつ分離した正常な花粉のようには飛散しにくいと考えられます(D)。
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