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京都大学 研究Discovery Saga
2026年7月22日

排熱から電気を生み出す熱電材料の"黄金比"をAIが発見

―熱の運ばれ方"50-50"が高性能の目印、自律的材料開発実現への一歩―

【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
情報学数物系科学工学
【Sagaキーワード】
機械学習/人工知能(AI)/クリスタル/データ解析/フォノン/電力変換/省エネ/熱電材料/原子力/自動車/熱伝導/熱伝導率
この研究の主な対象者
企業・研究者の方
公開日

研究者情報

研究者名
孫 一帆

京都大学 教育研究活動データベース 

研究者名
黒﨑 健

京都大学 教育研究活動データベース 

概要

京都大学複合原子力科学研究所 孫一帆 助教、黒﨑健 同教授、米国ノースウェスタン大学 Chris Wolverton 教授、Zhi Li 同研究員、大阪大学大学院工学研究科 大石佑治 教授、今村哲也 同修士課程学生(研究当時)らの研究グループは、データ解析と機械学習により、高性能な熱電材料では熱のほぼ半分を原子の振動が、残り半分を電気を運ぶ粒子が担っているという傾向を突き止めました。熱電材料は排熱を電気に変える省エネ技術ですが、有望な材料の絞り込みはこれまで膨大な試行錯誤に頼ってきました。本研究では、約7万件の実験データをAIに学習させることで、30年来、熱電材料分野の中核をなしてきた設計思想「フォノングラス・エレクトロンクリスタル」をデータで定量化することに成功しました。この配分と熱伝導率を予測する機械学習モデルを約10万種の化合物に適用して熱を伝えにくい2,522の候補材料を特定し、性能を高める元素選びの指針を示しました。本研究成果は、2026年7月15日にエルゼビア社が刊行する国際学術誌「Materials Today Physics」にオンライン掲載されました。
画像

膨大な実験データからデータ解析で高性能材料の「目印」を抽出し、新しい熱電材料の設計につなげる。自動車やデータセンターなどの排熱の高効率な電力変換を目指す。(作成:孫一帆/画像生成:ChatGPT 5.6 Solを使用)

研究者のコメント
「約7万件のデータを一枚のグラフに描いたとき、驚くほどシンプルで美しいパターンが浮かび上がってきました。その一点一点は、世界中の研究者が積み重ねてきた実験の記録です。膨大なデータの中から知見をすくい上げるデータ解析の魅力を改めて実感した瞬間でした。今後もAIとともにデータの探索を続け、先人たちが残した知恵を掘り起こし、新しい材料の開発につなげていきたいと考えています。」(孫一帆)

詳しい研究内容について

排熱から電気を生み出す熱電材料の"黄金比"をAIが発見―熱の運ばれ方"50-50"が高性能の目印、自律的材料開発実現への一歩―

書誌情報

【DOI】
https://doi.org/10.1016/j.mtphys.2026.102166

【書誌情報】
Yifan Sun, Zhi Li, Tetsuya Imamura, Yuji Ohishi, Chris Wolverton, Ken Kurosaki (2026). Lattice-to-total thermal conductivity ratio: A phonon-glass electron-crystal descriptor for data-driven thermoelectric design.Materials Today Physics, 66, 102166.

関連部局

複合原子力科学研究所