地域社会の中で広がる薬剤耐性大腸菌パンデミッククローンの拡散動態を解明
~ヒトとペット間での家庭内伝播を含め、地域から世界的な流行への繋がりを明らかに~(獣医学研究院准教授 佐藤豊孝)
【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
【Sagaキーワード】
2026年7月21日
北海道大学
札幌医科大学
酪農学園大学
発表のポイント
●札幌市内・近郊のヒト、伴侶動物、下水・河川水、家畜から収集した大腸菌2,358株を解析。●薬剤耐性大腸菌国際クローンST131のヒトと伴侶動物を含めた家庭内伝播を示唆する知見。
●薬剤耐性菌によるパンデミックの制御には、地域・家庭レベルでのOne Health対策が重要。
発表概要
北海道大学大学院国際感染症学院博士課程の前田愛子氏(研究当時)、北海道大学大学院獣医学研究院、同大学One Healthリサーチセンターの佐藤豊孝准教授らの研究グループは、札幌医科大学、酪農学園大学、札幌市内の動物病院等との共同で、2021〜2022年に札幌市内のヒト・伴侶動物(犬・猫)・下水・河川水・家畜(牛・豚・鶏)から収集した大腸菌2,358株を対象に、フルオロキノロン耐性大腸菌(特に国際的なハイリスククローン/パンデミッククローンであるST131)の地域内での広がりを一つの地域と期間でとらえる「One Health(ワンヘルス)」の枠組みで解析しました。その結果、フルオロキノロン耐性大腸菌は伴侶動物で最も高い割合(約26%)で見られ、ST131はヒト・伴侶動物・下水から検出されました。全ゲノム解析により、ヒトと伴侶動物で同一系統のST131が共有され、飼い主とペットの間での家庭内伝播や、健康な人の間での無症状の伝播が示唆されました。これらの株は薬剤耐性遺伝子や病原因子を多く保有し、臨床分離株とよく似ていたことから、病院での感染にもつながりうると考えられます。さらに札幌の流行株は、世界的に拡大するST131の系統の中に位置づけられ、ST131のパンデミックの成立に関与していると考えられました。今後は「One Health」の視点から、地域・家庭レベルでの対策と継続的な調査を進めることが重要です。
なお、本研究成果は、2026年6月23日(火)公開の国際科学誌「Antimicrobial Agents and Chemotherapy」にオンライン掲載されました。
論文名:A community-based One Health approach to the pandemic dynamics ofEscherichia coli ST131(地域社会を基盤としたOne Healthアプローチによる薬剤耐性大腸菌ST131の流行動態の解明)
URL:https://doi.org/10.1128/aac.00007-26
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薬剤耐性大腸菌パンデミッククローンには、ヒトと伴侶動物を含めた家庭内・地域社会での拡散が寄与している知見が得られた。
北海道大学 研究