卵の形はみんな同じじゃなかった!
卵塊の中での位置によって形が異なる現象をカメムシで初めて発見 システム生命科学府一貫制博士課程4年/理学研究院 正本大岳/細川貴弘准教授
【注目の成果:共同研究・産学連携のためのチェックポイント】
![]() | 今後さまざまな⽣物において、卵形変異の適応に関する議論が進むことを期待 |
【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
【持続可能な開発目標(SDGs)】
【Sagaキーワード】
2026.07.07
研究成果Life & Health
発表のポイント
メスが一度に複数の卵を産み、卵塊を形成する生物は多い。単一の卵塊内において卵の形は均一ではなく異なる可能性があるが、その実態や適応的意義(※1)については全く不明であった。メスが卵塊を天敵から防衛するエサキモンキツノカメムシでは、安全な卵塊中央部に位置する卵は危険な卵塊周縁部に位置する卵よりも細長い形をしていることが明らかになった。
卵塊内での位置に応じて卵の形が異なるという現象は今回が初めての報告であり、適応的な卵形変異という新たな研究の方向性を提起するものである。
発表概要
近年、動物の卵の形の進化や多様化についての研究が急速に進展しています。メスが一度に複数の卵を卵塊として産み出す動物は数多く存在しますが、そのような動物では単一のメスが産んだ卵であっても形が均一ではなく異なる可能性があります。しかし、「卵塊内で卵の形がどの程度異なるのか?」そして「その変異がどのような要因によってもたらされているのか?」については、ほとんど分かっていませんでした。九州大学大学院システム生命科学府の正本大岳大学院生、同大学院理学研究院の細川貴弘准教授、鳴門教育大学大学院学校教育研究科の工藤慎一准教授の研究グループは、植物の葉に平面状の卵塊を産み、メスが体でこれを覆って天敵から防衛するエサキモンキツノカメムシにおいて、卵塊の中央部に位置する卵は周縁部に位置する卵よりも体積が大きく細長い形であることを明らかにしました。
本研究は卵塊内での位置に応じて卵の形が異なるという現象を初めて発見したものになります。卵塊を防衛するエサキモンキツノカメムシでは、卵塊中央部により大きく細長い卵を産むことにより、天敵に襲われにくい中央部の卵への相対的な投資を増やしつつ、メスの体の下という限られた空間に卵塊全体をコンパクトに収め、周縁に露出する卵の割合を最小化している可能性が考えられます。このような親の防衛行動に応じた卵塊内での卵形の変異がどの程度一般的な現象であるのかを検証することが今後の研究の課題になります。
本研究の成果は、米国の科学雑誌「The American Naturalist」に2026年6月11日(木)(日本時間)にオンライン先行公開されました。

シナサワグルミの葉上で卵塊を防衛するエサキモンキツノカメムシのメス(細川貴弘撮影)
研究者からひとこと
卵には⺟親の繁殖成功度を⾼める様々な“工夫”がありそうです。本研究で明らかになった知⾒も、そうした手の込んだ適応の⼀端を⽰すものです。本研究を機に、今後さまざまな⽣物において、卵形変異の適応に関する議論が進むことを期待しています。(正本⼤岳)
用語解説
(※1) 適応的意義・・・その生物の生存や繁殖への寄与論文情報
掲載誌:The American Naturalistタイトル:Positional intra-clutch variation in egg shape associated with maternal guarding in a shield bug
著者名:Hirotaka Masamoto, Takahiro Hosokawa, Shin-ichi Kudo
DOI:10.1086/741119
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