
森の木々の熾烈な競争と共存の謎を解く
―なぜ巨木が独占せず、多様な木々と共存できるのか?―
【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
【Sagaキーワード】
この研究の主な対象者企業・研究者の方
公開日
研究者情報
研究者名小野田 雄介
京都大学 教育研究活動データベース
概要
一見、平和そうに見える森も、木々にとっては熾烈な生存競争の場です。木々は光を求めて上に伸び、大きな木が勝ち残りますが、一方で100年を超える立派な森でも、小さな木々も共存しています。これまで、森における木々の競争と共存の関係は謎に包まれていました。小野田雄介 農学研究科教授、松尾智成 ワーヘニンゲン大学(オランダ)博士研究員、小林慧人 森林総合研究所研究員、日浦勉 東京大学教授らのグループは、森林の光の3次元分布と樹木の三次元構造を解析する独自の方法により、樹木の成長速度を「光を獲得する効率」と「獲得した光を成長に転換する効率」の2つに分解して評価する新しいアプローチを開発・適用しました。その結果、若い森から成熟した森へと発達する過程で、樹木の「光獲得」と「光利用」のバランスが劇的にシフトし、それが若い森での熾烈な光競争と急速なサイズ格差を生み出す原因であると同時に、最終的に異なる大きさの木々が共存する森に移り行く理由であることを、世界で初めて明らかにしました。本研究成果は、2026年7月8日に英国の生態学の国際誌「Journal of Ecology」に掲載されました。
研究者のコメント
「森はいつも静かで、安定して変わらない場所だと思うかもしれません。しかしそこに至る過程では、光を奪い合う熾烈な生存競争が繰り広げられています。この競争において、背の高い大きな木には圧倒的なメリットがあります。しかし、ただ大きい木だけが『勝ち組』にならないのが、自然の面白いところです。成熟した森では、わずかな光を効率よく使う小さな木も逞しく生きており、それぞれの樹種が独自の『ニッチ(適所)』を見つけて共存しています。今度森を訪れたときは、ぜひ木々の生き様に思いを馳せてみてください。静寂に包まれた森のなかで、したたかに生きている木々の息遣いが聞こえてくるかもしれません。(小野田雄介)
京都大学 研究