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金沢大学 研究Discovery Saga
2026年7月8日

光電極における結晶面選択的な反応メカニズムを解明

―合理的な光電極設計指針の確立に期待―

【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
環境学数物系科学化学総合理工工学農学医歯薬学
【Sagaキーワード】
光エネルギー/ビスマス/ファセット/量子化/輸送特性/太陽/量子化学/太陽光/光電気化学/電荷分離/電気化学反応/キャリア/キャリア輸送/水分解/都市環境/光触媒/マイクロ/移動度/電気化学/エネルギー変換/マッピング/酸化反応
ナノ生命科学研究所、教授/ナノ生命科学研究所、教授 高橋 康史/福間 剛士TAKAHASHI, Yasufumi/FUKUMA, Takeshi 2026/7/8

発表のポイント

サブマイクロスケールで局所的な電気化学計測が可能な走査型電気化学セル顕微鏡(SECCM)(※1)により、BiVO₄マイクロ粒子内の結晶面選択的な光酸化反応活性の可視化に成功
光電極系において光酸化反応が{010}面(※2)で優先的に進行することを解明
光電極における結晶面選択的な反応がキャリア移動度(※3)に支配される可能性を示し、光電極の合理的な設計に向けた新たな指針を提示

 
 名古屋工業大学物理工学類の平田海斗助教、名古屋大学大学院工学研究科の本田航大博士後期課程学生、同大学院工学研究科(兼未来社会創造機構量子化学イノベーション研究所)・金沢大学ナノ生命科学研究所(WPI-NanoLSI)の高橋康史教授、東京都立大学大学院都市環境科学研究科の天野史章教授、金沢大学ナノ生命科学研究所(WPI-NanoLSI)の福間剛士教授らは共同で、サブマイクロスケール(1マイクロメートルよりも小さい微細な領域)で局所的な電気化学計測が可能な走査型電気化学セル顕微鏡(SECCM)を用いて、バナジン酸ビスマス(BiVO₄)光アノード電極(※4)における異なる結晶面(結晶表面の向き)ごとの選択的な光電気化学反応を直接可視化し、従来の理解とは異なる反応メカニズムを明らかにしました。
 太陽光エネルギーを用いて水を分解し水素を生成する光電気化学的水分解は、クリーンなエネルギー変換技術として有望視されています。この反応効率の向上には、材料表面の結晶面を制御する「ファセットエンジニアリング」が重要な役割を果たします。BiVO₄ は光電気化学的水分解の代表的な材料です。粉末光触媒での研究から、異なる結晶面間に生じる内蔵電場(Built-in Electric Field:BEF)(※5)を駆動力として電子は{010}面に、正孔(電子の抜けた穴)は{110}面(※2)に移動して、各面で反応が起こるというメカニズムが広く知られていました。しかし、電圧印加下(外部から電圧をかけた状態)で駆動するBiVO₄ 光アノード電極上においては、{010}面と{110}面のそれぞれで高い酸化反応活性を有するという、相反する報告が存在し、光電極上での結晶面選択的な反応については統一的な理解が得られていませんでした。
 そこで本研究では、独自に開発している局所的な電気化学計測が可能なSECCM を用いて、BiVO₄ 光アノード電極上での結晶面選択的な光電気化学酸化反応を局所的に直接評価しました。SECCM による酸化反応マッピングにより、BiVO₄ マイクロ粒子内の結晶面選択的な反応活性の可視化に初めて成功し、水および正孔犠牲剤(※6)の光酸化反応は{110}面ではなく、{010}面で優先的に起こることを実証しました。これらの結果は、電圧を印加して動作する光電極では、光触媒系で広く知られているBEF 主導の電荷分離が必ずしも支配的ではなく、結晶内部のキャリア輸送特性が結晶面選択的な反応活性を決定する重要な要因であることを示しています。本成果は、粉末光触媒で得られた知見だけでは、光電極の反応挙動を十分に説明できないことを示すとともに、高効率な光電極開発に向けた合理的な電極設計指針の確立に貢献することが期待されます。
 本研究成果は、2026 年5 月27 日にアメリカ化学会「ACS Energy Letters」のオンライン版に掲載されました。

研究詳細

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