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京都工芸繊維大学 研究Discovery Saga
2026年7月1日

分子化学系 黒田 浩一 教授らの研究グループは、イソブタノールによる酵母の生育阻害メカニズムを解明しました

【注目の成果:共同研究・産学連携のためのチェックポイント】
材料の航空エンジン高温部への適用が促進され、燃費向上を通じた二酸化炭素排出量の削減への貢献が期待
【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
環境学生物学工学農学医歯薬学
【Sagaキーワード】
地球温暖化/タンパク質合成/ロイシン/tRNA/栄養応答/栄養飢餓/出芽酵母/生産技術/持続可能/再生可能資源/地球温暖化対策/バイオ燃料/温暖化/細胞膜/アルコール/分子標的/アミノ酸

概要

分子化学系 黒田 浩一 教授らの研究グループは、イソブタノール注1)による酵母の生育阻害メカニズムを解明しました。
 地球温暖化対策や化石資源依存からの脱却に向けて、再生可能資源を原料として生産されるバイオ燃料への期待が高まっています。なかでもイソブタノールは、高いエネルギー密度と既存の燃料インフラとの高い親和性を有することから、次世代バイオ燃料として注目されています。
 しかし、生産されるイソブタノールは宿主である出芽酵母自身の生育を強く阻害するため、生産量向上の大きな障害となっています。これまでイソブタノールによる生育阻害は、細胞膜の流動性低下やタンパク質の変性などによる非特異的な細胞機能障害として説明されてきましたが、実際にどの分子が直接の標的となって生育阻害を引き起こしているのかは、これまで分かっていませんでした。
 本研究では、これまでに発見していた「イソブタノールによる栄養飢餓応答の誘導」という現象に加え、黒田教授が実験を進める過程で得た気づきをもとに、「ロイシン認識機構がイソブタノールによる生育阻害の鍵を握る」という独自の仮説を構築しました。その仮説を検証した結果、イソブタノールが細胞質型ロイシルtRNA合成酵素(LeuRS)注2)に直接結合し、ロイシン注3)との結合を競合的に阻害することを世界で初めて明らかにしました。
 本研究成果は、これまで分かっていなかったイソブタノールによる生育阻害の分子標的を世界で初めて特定し、その生育阻害機構の理解を大きく前進させるものです。今回得られた知見は、イソブタノール耐性酵母の開発に向けた新たな分子育種戦略を提供するものであり、将来的なイソブタノールの高効率生産や持続可能なバイオ燃料生産技術の実現につながることが期待されます。


本研究成果の概要
本件の詳しい内容はこちら(PDF)
本研究成果は、2026年6月4日付で国際学術誌『Journal of Biological Chemistry』にオンライン掲載されました。

用語解説


注1)イソブタノール
炭素数4のアルコールの一種。ガソリンに近いエネルギー密度を有し、既存の燃料インフラを活用できることから、次世代バイオ燃料として注目されている。
注2)ロイシルtRNA合成酵素(LeuRS)
タンパク質合成に必要なアミノ酸であるロイシンを対応するtRNAへ結合させる酵素。正確なタンパク質合成に必須の役割を担う。
注3)ロイシン
生物のタンパク質を構成する必須アミノ酸の一種。分岐鎖アミノ酸(BCAA)に分類され、タンパク質合成や栄養応答の制御に重要な役割を果たす。

問い合わせ先

総務企画課広報係
TEL:075-724-7016
E-mail:koho[at]jim.kit.ac.jp(※[at]を@に変換してください)